ドイツ自動車大手のVWは2016年5月13日、ドイツ人工知能研究センター(DFKI)の株式を取得し、DFKIの人工知能事業に参画すると発表しました。
DFKIは、世界有数の人工知能に関する研究機関で、60カ国以上から750人の研究者が集まっています。
DFKIでは人工知能を利用して学習能力を持つソフトウェアを開発しており、昨年2015年には1年間で4250万ユーロの研究資金を外部から獲得するなど、その研究能力は高く評価されています。
以前からVWとDFKIは運転者の疲労を検出できる機能を組み込んだシートを開発するなど、特定のプロジェクトで協働してきたようですが、今回、VWがDFKIに出資することで関係を強化し、人工知能を応用した自動運転技術や、生産システムのデジタル化など、より広範囲で高度化した研究テーマに取り組むものと見られます。
VWとDFKIは資本提携後の初プロジェクトとして、人間とロボットをより密接に連携させるソフトウェアの枠組みである「ROCK」の開発を始めていることを発表しました。
また、VWが5月13日に開催した「IT Symposium 2016」では、センサーを使ったロボットと人間との協調などが、実用化を目指している研究テーマとして発表されました。
このように最近のVWは人工知能分野への進出を急ピッチで進めています。
排ガス不正問題で苦境に立つVWですが、得てして企業は苦境のときに後に大きな利益を生む研究・開発を進めるもので、VWの人工知能分野での今後の製品開発に注目が集まります。
(山内 博・画像:VW)