世の中が平穏だった時代、旅客機は飛行中にコクピット内を見せてくれたものです。
私のもっとも感激したのは1977年、音速飛行中のコンコルドのコクピット見学でした。といっても、可変式ノーズを上げているので、前方視界はありませんでした。
いまでも、搭乗中、コクピットのドアが開いていれば、覗けることがあります。
現在の大中型旅客機市場を2分しているのが米ボーイングと欧エアバスですが、大きな違いがコントロール。ボーイングは、ホイール発達『ヨーク(牛車などの2頭をつなぐ用具形状から来た言葉)』。
そしてエアバスは『サイドスティック』なのです。ちなみに、コンコルドはW形のヨークでした。
自動車メーカー技術者、デザイナーが最新航空機にヒントを得るのは当然の成り行きでしょう。油圧、電動アシスト、そして電子制御ステアリングの時代になると、生産車にヨーク風、レーシングカー、コンセプトカーにヨークそのものが出現します。形状は H形、矩形、下切れ矩形などがあり、複数コントロールスイッチを搭載しています。
面白かったのが、GMが燃料電池セダンを意図した“ハイワイヤー”先進コンセプトで、移動型ヨークで、左右いずれかの席からも運転できます。
その電動ステアリング、ブレーキを開発したのがSKF社で、GM先進技術体験イベントに超クイックステアリングの実験車が出てきました。カーガイとして有名なボブ・ラッツ副会長と試乗しました。「クルマでもなく、バイクでもなく、飛行機とも違うな。慣れがいるね。」彼、3種の乗り物を所有し、飛び回っていました。