今回の問題点は、クルマの型式認定を受ける際に燃費に有利になる走行抵抗値(主にタイヤの転がり抵抗と、空気抵抗)を使ったというもので、一部報道などによると、カタログ燃費への影響は5〜10%くらい悪くなる可能性があるそう。
JC08モード燃費と実燃費の乖離は、三菱車だけではなく全メーカーに当てはまるものですが、唯一の統一基準であるはずのカタログ燃費になる大きな要因の走行抵抗値が不正のものだったとなると、国交省のお墨付きだと思っている人が多そうだけに(メーカーが提出する届け出値とはいえ)カタログ燃費への信頼も揺るぎかねません。
また、問題は軽自動車だけにとどまらない可能性も否定できないようで、同社では「国内市場向け車両についても、社内調査の過程で国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていたことが判明しました。
また、状況の重大性を鑑み、海外市場向け車両についても調査を行います」とコメント。
こちらも調査待ちとなりますが、該当車両以外のカタログ燃費が適正であるかも分からなくなるという事態になりかねません。さらに、一部報道によると国土交通省は他メーカーにも調査するように指示したそうです。
また、記者会見ではエコカー減税などの税金や補助金関連も国や自治体への返納についても言及したようですが、燃費不正による燃料代なども含めてユーザーへの補償も全容が解明されるまでには時間がかかりそう。
三菱自動車は、軽自動車とSUV、EV、PHVなどの電動車両に経営資源を集中して投下していましたが、利益率はSUVや電動車両と比べて低いと想像できる軽自動車とはいえ、その影響は絶大でしょう。
ブランド失墜、販売大不振で経営問題に発展した場合、過去のリコール隠しなどの時のように、三菱グループが支えることができるか気になるところ。
現在の大株主は三菱重工業(約12%)、三菱商事(約10%)と2社だけで22%を超え、三菱UFJなど同グループが多くなっています。
今回の不正は、まだ分からないことだらけですが、自動業界再編も含めた問題になる可能性もはらんでいそうです。
(塚田勝弘)