一方で、思いのほかEV走行の速度領域は高く、充電状態がよければ約130km/hまでモーター走行が可能という謳い文句も伺い知ることができました。
C 350 eには、4つの走行モードが用意されていて、「HYBRID」は走行環境やバッテリーの残量に合わせてエンジンと電気モーターを併用。先述したように、高出力電気モーターのブースト機能によりスムーズな加速感を享受できます。
「E-MODE」は、文字どおりモーターのみのEV走行で、バッテリー状態により約30kmの走行と最高速度130km/hの走行を実現するもの。
「E-SAVE」は、早朝深夜の住宅街などで静かにEV走行したい際など、バッテリー残量をキープするモードです。走行しながらバッテリーを充電する「CHARGE」モードは、積極的にエンジンを始動。残量が減っても少しずつ増えてきますので、あと数kmだけモーター走行したい際などは重宝しそうです。
せっかくPHVを買ったのであれば夜間など使わない時に充電し、近場はモーター走行のみで、遠出する際はハイブリッド走行やチャージモードで走るなど、走り方を選べるのが魅力。同車も同じでしょう。
なお、リチウムイオンバッテリーの充電時間はフル充電まで「CHARGE」モードで約40分、AC200V電源使用で約4時間。急速充電には対応していません。
セダンのトランク容量は335Lで、純ガソリン車の445Lよりは見た目も小さく、リチウムイオンバッテリーを床下に積むため荷室奥が一段高くなっています。それでも後席の分割可倒式機構が残されていますから、荷物が多い際も対応できます。
荷室がある程度狭くなるのは仕方ないですし、ブレーキのフィールに電動化モデルの癖(急に制動力が高まり、「カックン」ブレーキになりやすい)があり、また「ここまで速くなくてもいいのでは?」と思うほど、ゆっくり走った際と踏み込んだ時との二面性には驚かされますが、退屈とは無縁のPHVといえそうです。
(文/塚田勝弘・写真/小林和久、塚田勝弘)