ほかにも、ストラット(フロント)の軸受け部分に鋳造アルミの強化部材を使用。また、ルーフフレームの前面、Bピラー、ドアシル、フロアの一部に熱間成形鋼鈑パーツ(ホットスタンプによる高張力鋼板)を使用するなど、複合材料を使っていますが、A8のようにさすがにオールアルミボディ化せずに、A6と同様のアルミコンポジットボディとなっています。
これから少なくても4、5年以上はアウディを支えていく中核モデルですから、新型A4ではオールアルミボディへの期待も個人的にあったのですが……。
そんなことを思いながら乗り込むと、最初に気がつくのはボディ剛性感の高さ。
兄貴分のA6よりもサイズが小さいこともあってか、ボディがギュッと引き締まっていて、しかもスチール主体のコンポジットボディでも意外なほどの軽快感もあります。
また、運転席のフットスペース(主に左足側)が広くなった印象で、適正なドラポジがとれるようになり、左足への圧迫感がなくなりました。ほかにも、やや手応えが希薄で軽すぎた感のあるパワステも新型では適度な重さ、そして路面からの情報もより感じやすくなったのも見逃せません。
逆に気になるのは、予想以上に硬めの乗り心地。コーナリング時などでは先代よりもストローク感は得られるものの、とくに街乗りでは小さなショックが常に感じられます。
救いなのは、先述したように高い剛性感あるボディが減衰している感じがするのですが、良くも悪くもアウディA4ってこんなに硬質だったかな? という乗り味になっています。なお、試乗した17インチ、18インチモデルもその印象はほぼ同じようなものでした。
エンジンはFFに搭載される190ps/320Nm版と、クワトロ向けの252ps/370Nm版の2.0L直列4気筒ターボがあります。
190ps版でもこれ1台で乗る限りは街中から高速道路からパンチ不足を痛感させられることはなく、DCTとしてはスムーズかつダイレクト感のある7Sトロニックという組み合わせもあって、適度にメリハリがあり、しかもショックの少ない変速フィールも大きな美点。
しかし、クワトロに乗り替えるとトルク、パワーともに額面どおりの差は歴然とあり、「アウディ=クワトロだろう!」という方は動力性能の面でも不満を抱くシーンはほとんどないのではないでしょうか。
ボディの堅牢感がありながら軽さもあり、あとはもう少ししなやかな乗り心地があればCクラスや3シリーズなどのライバルとの差別化も明確に図れるはずで、乗り心地に関しては今後の熟成も期待したいところです。
(文/塚田勝弘・写真/小林和久)