山本:RC213Vはクラッチ操作をしなくてもシフトチェンジがスムーズに行える、市販のバイクとは別物の様ですが。
宮城:搭載されているシームレスシフトは各メーカーこぞって研究開発しています。
1速から6速までスロットル全開、チェーンを張った状態の負荷を掛けていると、全く振動がありません。オートマチックかと思うほど、スムーズな加速をしてくれます。
減速の場合もクラッチは使いません。減速方向にペダルを操作すると、フライバイワイヤでポンポンとエンジン回転が自動で上がり、バックトルクリミッター(リアホイル内のトルクを逃がすクラッチ機構)が効いて、リアがホッピングが1回もする事もなく減速をします…僕が乗ってる分には。マルケスが乗っているとエゲツないホッピングをしています(笑
とんでもない突っ込みをしています。僕が1秒掛ける作業をGPライダーは0.3秒でこなします。そこでタイムラグが出て機械がついて来ない時に、リアのブレーキバランス、サスペンションの伸縮、エンジンブレーキ、チェーンの遊び、こういった状況が重なった時リアが暴れ出します。テストライダーも再現できていないと思います。
テストライダーはこうなったらこの先に(何か起きる)可能性があるな…というマシン作りをしていると思います。
だから、ケイシー・ストーナーは残留して欲しかったですね(笑
(注:ケイシー・ストーナー 元世界チャンピオン。今年ドゥカディにテストライダーとして移籍。開幕前の合同テストで現役ライダーよりも速いタイムを叩き出した)
マシンの前輪が浮いたまんまで加速していきますよね。考えられないと思いますが、RC213Vは前輪を10cm程浮かせたまま、6速までずっとシフトアップしていきます。だから実際には1輪で走っています。
電子制御が入るとエンジンをマネージメントし始めます。しかし、それではエンジン性能を100%引き出せていない。車速に対してアクセルを開け過ぎているので速くない。荷重が後ろ寄りになり過ぎ、前輪が浮いている。ライダーはアクセルを開けてるつもりでも、スロットルは閉じる方向に電子制御されています。
その条件下では最高の加速をしているが、グランプリライダーはもう一つ上のレベルで制御を行っています。前輪が浮かないよう、電子制御が入らないようにスロットルを開けてエンジン性能を使い切るように走ります。
前輪が浮いていると一見速そうに見えますが、実は速くないのです。
バイクに乗らない人には前輪を浮かせた──という状況は判り難いでしょう、バイクに乗る人には状況もニュアンスも伝わり易いです。解説は事態をとても噛み砕かれており、伝わりやすいです。
次はタミヤの古谷氏がプラモデルについて熱く語ります。
(川崎BASE)