珍車の宝庫! 伝説の旧車祭り「レトロモビル」にはフランスの昭和がいっぱい!!【ガラッパ!~ゲロ裏01】

この仕事をして20数年、希少かつ貴重な珍しいクルマに会う僥倖に多々あずかってきたが、毎年行く度に我が身の勉強不足を思い知らされるイベントがある。それが毎年2月1週目、パリで行われる「レトロモビル」だ。会場は2年に一度のパリ・モーターショーと同じくポルト・ドゥ・ヴェルサイユの見本市会場。5日間という短い開期にのべ11万人以上の観客が詰めかける、インドアの自動車ミーティングとしては欧州で最大規模のイベントだ。

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クルマだけでなくバイクや船、鉄道にいたるまで、飛行機を除いた地上の乗り物であれば大体OKという、バラエティ豊かなイベントでもある。ミニカーやトイ、昔のポスターやカタログといった小物(アウトモビリアと呼ばれる)を専門とするショップの出展も、充実している。

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レトロモビルがすごいのは、旧車がただ単にいっぱい集まるからではない。5万平米超の会場に500台以上という旧車の内訳は、メーカーや博物館のコレクション車両、クラブのメンバーの所有車、ショップのデモカーや売り物、オークションで競売にかけられるクルマといったところだろう。ところが集まったクルマの中に、滅多にお目にかかれない魔物級が続々・・・という、レアさの質がちょっと尋常ではないのだ。とくに主催者が毎回設定するテーマ展示は、「カルチャーの前にカルトありき」というか、人気が出て火がつくとか「文化」として人々に広く認められる以前に、そもそも種火を絶やしてはならないという態度が滲み出ている。

まず注目を集める一番のカテゴリーは何といっても、「クルマとしてセレブな」クルマたち。ル・マン24時間を戦った1989年のシルクカット・ジャガーXJR-9とか、98年優勝車のポルシェ911GT1とか、一連のブガッティのような、そもそもがオンリーワンの存在で、当時から目覚しい活躍で注目をされ、立派な戦績を残した個体は「ヒストリーつきのクルマ」として、崇められる存在になっているのだ。売買の際は同型の違う個体ではないことを証明するために、現役のレース時に付随したFIA車検証のような書類が求められるが。

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続くカテゴリーは、いってみれば競争で勝利したクルマではないかもしれないが、特殊な記録や功績を残した類のクルマだ。たとえば1956年にボンネヴィルのソルトフラットレイクで、最高速度記録に挑戦したルノーの「エトワール・フィラント(文字通り「流星号」)だ。270馬力のガス・タービン・エンジンで時速308.85kmを記録した。

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あるいは、そこまでオンリーワンでなくても、量産車だが他の同型モデルと少し違った特徴をもつ個体なども、セレブな部類に属する。フェラーリ250GTのバリエーションや戦前のメルセデス・ベンツのようなカロッツェリアの違いによる架装ボディの違いなどだ。グループBのように、GTカテゴリーやラリーのような量産車ベースのコンペティションで活躍したクルマも入るだろう。