アクティブトルクスプリット式を採用するスバル「シンメトリカルAWD」の走りは?

油圧多板クラッチを採用するアクティブトルクスプリット方式は、前後基本トルク配分を「60:40」に設定し、エンジントルクと車輪速センサーにより駆動状況をモニタリングするシステム。

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さらには、VDCからステアリングの舵角、ヨーレート、横加速度信号などもモニターされていて、通常時は駆動ロスを抑え、突然滑りやすい路面に遭遇しても素早く対応することが可能です。

制御はトランスファー内の多板クラッチにより行われ、ほぼ直結状態からほぼ前輪駆動まで可変させることができます。

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さらに、インプレッサ(スポーツ)とXVのハイブリッド車は、アクティブトルクスプリット式をベースに、専用設計となるコンパクトなモーターがミッションケースに内蔵されていて、AWDの基本構造を変えることなくハイブリッド化がされているのも特徴。

アクティブトルクスプリット式では、レヴォーグ(1.6)、レガシィ・アウトバック、インプレッサ(スポーツ)、XV、フォレスターに雪上コースや公道で試乗する機会がありました。

どのモデルでも印象的なのがAWDとは思えない素直なハンドリング特性。なお、試乗車全車にブリヂストンの「ブリザック(VRXやDM-V2)」が装着されていました。

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圧雪路や氷上に近いコンディション、坂道やコーナーなどでも横滑り防止装置のVDCをオフにしなければ高い安定性が得られます。走るごとに路面が磨かれるコースでは、非常に滑りやすい路面もありましたが、慣れてくるとコントロールしやすく、横滑り防止装置をオフにしてその違いも楽しむことができます。

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フォレスターとアウトバックには「X-MODE」が装備されていることもあり、よりイージーに特設コースを走破できるのが印象的でした。オフにしても特設コースをクリアできましたが、楽なのはやはり「X-MODE」のオンで、余計にスリップするシーンが激変します。

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また、フォレスターはインパネ中央に「X-MODE」などの作動状況が分かるディスプレイが配置されていて、メーターで確認するアウトバックよりも「X-MODE」の仕事ぶりをチェックしやすく感じました。

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インプレッサやXVは、フォレスターやアウトバックよりもひと回り小さく感じさせるほど全体の動きが軽く、滑り出したときの対処もしやすいのが美点。

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ただし、パワステもやや軽く感じるため、雪道やほぼ凍結した路面ではステアリングのインフォメーションに物足りなさも抱かせますが、普通に走る分には先述したように軽快感につながっているのでしょう。

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また、レヴォーグ(1.6)とフォレスターのターボで公道(林道)を走る機会もあり、先の路面が読みにくい林道ではフォレスターのアイポイントやロードクリアランスの高さが頼もしさに感じられ、雪上や除雪された冬道ではレヴォーグの乗り味の良さが伝わってきました。

(塚田勝弘)

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この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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