もうひとつ、アクセルペダルも疲れない理由のひとつ。普通のアクセルペダルは上から支えている「吊り下げ式」で、踏み込む足の動きとペダルの角度変化にズレが生じるからわずかとはいえドライバーが感じないうちにストレスを生む原因になる。それが蓄積して疲れになるのだが、ロードスターのアクセルペダルは下側を支点にした「オルガン式」だからストレスを生みにくいのだ。
世界中みまわしてもこの車体サイズでオルガン式ペダルを採用するのは、マツダとBMW(MINI)くらいである。クルーズコントロールがなくても大きな不満にならなかったのは、おそらくそんな運転環境の最適化の賜物だ。
もちろん、ロングドライブで疲れを感じなかった理由にはシートもある。新型ロードスターは着座位置を下げるために他のマツダ車とは異なるハンモック構造のシートを採用しているが、それがまた秀逸。フィット感に優れ、体圧分布にも優れ、座り続けても姿勢が乱れることもなく、1500キロを超えるロングドライブでありながら座り疲れを一切感じなかったのは驚異と言わざるを得ない。
ステアリングのテレスコピック調整がないのはどうなんだ?とか、シートリフターがない(座面前端の高さ調整機構は採用)から好みの運転姿勢を取りづらい、とか装備項目としての不満を感じるかもしれないが、いざ乗ってしまえばピタリとドラポジが定まるのは素晴らしいと思う。まるで、ステアリングが固定式で調整機構がシートスライドしかないのにいざ運転席に収まってみれば違和感なくフィットするロータス・エリーゼみたいだ。
※その4に続く
(文:工藤貴宏/写真:前田恵介)
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