トヨタがダイハツを完全子会社に!両社のクルマつくりはどう変わる?

1月29日に「株式交換契約締結の取締役会決議日(両社)」、「株式交換契約締結日(両社)」がなされ、今後の流れは3月31日に「株式交換契約承認定時株主総会基準日(ダイハツ工業)」、6月下旬に「株式交換契約承認定時株主総会決議日(ダイハツ工業)」、7月26日(予定)に最終売買日(ダイハツ工業)、7月27日(予定)に上場廃止日(ダイハツ工業)、8月1日(予定)に株式交換の実施予定日(効力発生日)となっています。

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ダイハツを完全子会社化する狙いは、軽自動車に代表されるダイハツの小型車作りのノウハウを完全に共有すること。

あるいは、新興国向けと先進国向けのコンパクトカーの作り分け(同じ仕様のクルマを新興国と先進国に投入すると、それぞれのニーズに合わない場合が多々ある)には、ダイハツの力をもっと活用する必要がある、と判断したのではないでしょうか。

正式には「トヨタとダイハツは、共通の戦略のもと、両社の技術・ノウハウや事業基盤を融合することで両ブランドの特色を活かした魅力的でグローバルに競争力のある商品を展開する」と発表。やはり「グローバル」はひとつのキーワードといえそうです。

【小型車戦略】では、

・トヨタブランド、ダイハツブランドの差別化を進め、それぞれのお客様にとって最適な商品ラインナップを拡充

・ダイハツが主体となって、これまで培った現地のお客様目線に立ったクルマづくりや、軽自動車を基盤・基点とした商品企画・技術開発のノウハウ・プロセスをさらに進化させ、小型車領域での両ブランドの商品を開発

と発表されています。

小型車づくりをある程度ダイハツに任せて、これからいくらでも必要な環境技術や自動運転に関する技術などにお金や人(資源)を注力していくのかもしれません。

【技術戦略】では、

・トヨタとダイハツは、技術戦略を初期構想の段階から共有

・トヨタは環境・安全・安心・快適技術面での技術開発を進め、ダイハツはパッケージング力、低コスト技術、低燃費技術に加え、先進技術の低コスト化・コンパクト化を推進

・ダイハツ独自のクルマづくりのノウハウをトヨタグループ内で共有、上位車種でのコスト競争力にも貢献

とされていますが、軽が主力のダイハツのコスト削減をトヨタの「TNGA」にも活用するのでしょうか。

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かつてのトヨタ、ダイハツの協業といえば、日本ではパッソセッテ、ブーンルミナスが思い出されますが、成功とは言いがたいモデルだっただけに、どれだけ魅力的なクルマを提供してくれるか注目です。

【事業戦略】では、

・新興国市場においては、それぞれの事業基盤を活用しあい、ダイハツが主体となって、開発・調達・生産といったモノづくりをスピーディーかつ効率的に推進

・国内事業では、トヨタの販売のノウハウやインフラも相互活用し、ダイハツブランド力向上と収益力の両立を図る

としています。

最近のダイハツ車、たとえばキャストなどは、軽自動車トップクラスと表現したくなる走りの質感をすでに達成していて、トヨタはヴィッツやアクアなどで走りの面で着実にアップデート。

ダイハツが主体でも、両社による新しいコンパクトカーが今まで以上の完成度で具現化されることを願うばかりです。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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