FIAT 500Xは雰囲気満点、乗り心地は課題アリだがその魅力は?

ひと言でいえば、乗り心地は洗練されているとは言いがたいもので、低速域から高速域まで速度域を問わず前後、左右、上下多様な方向にボディが揺すられる印象で、なかなかピタリと上屋が収まってくれません。

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なお、今回試乗したのは4WDよりも乗り心地が良いはずのFFモデルで、ジープ・レネゲードは4WDにも乗りましたから、その経験からすると4WDが必須でないのならFFの方がまだ無難であるはずです。

ジープ・レネゲードは「ジープ」ブランドですから、多少粗い乗り味でも何となく飲み込めますが、何となく街乗りのオシャレな印象のある「フィアット」は、もう少し改善して欲しいところ。

しかし、美点はロードホールディングの高さで、ワインディングをやや速いペースで駆けると大きめのロールを許しつつ、最後はしっかりと粘ってくれるのは、何となくイタリア車らしさも感じさせます。

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140ps/5000rpm、230Nm/1750rpmという数値の1.4Lターボエンジンは、1380kgというクラスでは重めの車両重量に対しては、やや物足りないシーンもありますが、先ほどの乗り味からしても飛ばすよりもゆったり走る方が似合いますから、ちょうどいい程度といえそう。

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それでも「ドライブムードセレクター」のダイヤルを「Sport」モードにすれば思いのほか活発に走ってくれますし、6速DCTをマニュアル操作すればもどかしさを感じさせることはありません。

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なお、6速DCTは街中では大半の速度域で4速までしか入らず、変速ショックもシングルクラッチかと感じてしまうほど大きめで、日本の交通事情にはややマッチしていないのも気になるところ。

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走りの面では課題も感じさせますが、カラーを含めたデザインやサイズの割に広さを感じさせる室内、荷室空間など魅力は満載で、指名買いする人が多そうなモデルですからこうしたネガを吹き飛ばすには十分な個性の持ち主といえそうです。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久、塚田勝弘)

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この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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