しかし8位で完走したとはいえ、それで満足できるようなチームではありません。その3週間後、8月29、30日に鈴鹿サーキットで開催される「2015 AUTOBACS SUPER GT Round 5 44th International SUZUKA 1000km」はスバルの伝統的に強いレースであり、ここでの好成績が、本当の意味での復活となるのです。
予選Q1では山内選手が1’59.240でQ2へつなぎ、井口卓人選手はそのQ2で昨年のコースレコードを上回る1’59.060をたたき出します。しかし1分58秒台という異次元のタイムを3台が更新し、結果は4位。しかし2列目からのスタートということで期待は膨らんでいきます。
30日の決勝。天候は1000kmという長丁場の波乱を象徴するかのような雨。お昼過ぎだというのにまるで夕方のような暗さとウォータースクリーンで視界が悪いだろうことは容易に想像ができます。
そんなヘビーウェットの中、一時は6番手まで落とした順位を井口選手は4番手まで戻し、山内選手へとつなぎます。
20番手でコース復帰した山内選手は猛追を開始。ピットタイミングもあってという状況であるがなんと2位まで順位を上げて行ったのです。
しかし他車との接触でリアディフューザーを破損するも、その走りは全く緩むことなく、53周目にトップへと登りつめていったのです。
そして122周目、2位を走るStudie BMW Z4と全く同じタイミングでのピットイン。そしてピットアウトまでもが同じタイミングとなり、コース復帰した瞬間は順位に変動がないという状況。
しかしながら、その周に追いついてきた3位のGAINER TANAX GT-Rはタイヤが温まった状態で、まだタイヤが冷えていたBRZは抵抗する間もなく道を譲ることになります。
しかしこの時点で3位、タイヤが温まりさえすれば猛追の可能性はまだあったはず。しかしラスト20周あたりから、再び雨が!
スリックタイヤをレインに替える余裕など、この残り周回数ではあるはずもありません。フィニッシュドライバーの井口選手は巧みにグリップを探りながら、順位を下げることなく、またマシンを壊すことなく表彰台のみを見据えて周回を重ねることに専念して行ったのです。
井口選手の粘り強さが結果として、今シーズン初めての表彰台をSUBARU BRZ R&D SPORTにもたらしました。
次戦のスポーツランドSUGOで9月19、20日に開催される「2015 AUTOBACS SUPER GT Round 6 SUGO GT 300km RACE」では、コースの相性もあいまって、鈴鹿以上の好成績を期待してしまいます。
(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)