ボディサイズが大きくなって重くなると、タイヤも大きくなるなどSUVは乗り心地の面で不利になります。重心高もセダンなどよりも高くなりますから、ロールしやすくなるなど、ボディコントロールの面も不利になり、SUVは本来、走行性能的には「いいとこなし」。
同じプラットフォームを使っていながら、背の低いモデルとそこから派生したSUV系では乗り味で差が出てくる傾向があるのは当然かもしれません。それでもクルマの難しく、おもしろいところは、背が高くしたSUVの方が乗り心地もいいという例もあるところです。
アウトランダー、アウトランダーPHEVともにマイナーチェンジ後は、とくに日本のSUVにありがちなフロアからの微振動がよく抑えられていて、足裏やお尻を絶えず揺さぶるような、無様な乗り味になっていないのがまず美点。
それでいながら大きなギャップを乗り越えた際のショックも巧みに吸収し、しかもフラットライドを保とうとしますから、たとえば微振動を抑え切れていない印象の日産エクストレイルやマツダCX-5などのライバルと比べても乗り心地は一段と上質。
さらに、価格帯では少し上になるトヨタ・ハリアーよりも上手です(おそらく純正タイヤをもう少し高いタイヤに替えれば改善しそうですが)。
三菱ではライバルとしてこれらのSUVだけでなく、レクサスNXや欧州勢も視野に入れたというだけあって、きっちりと成果を出している印象です。
実際のメニューとしは、サスペンション取付部の剛性やボディ剛性の補強、リヤダンパーのシリンダーの大径化などで操縦安定性と乗り心地の両立を図っているそうですが、乗り心地をコスト成約がある中で改善していくのは難しい作業になります。
さらに、今回のマイチェンで、吸音材、遮音材、制振材やダイナミックダンパーの追加などで静粛性の向上も図っている理由は、このクラスのSUVが日本だけでなく、世界的にも競争が激しくなっていて、三菱ではアウトランダー/アウトランダーPHEVは「上質さ」でも勝負するという明確な狙いがあったからだそう。
今回は、かなり目を惹くルックスになったアウトランダー/PHEVですが、まず大きな「深化」といえるのは乗り心地の面にあります。
■上質さにこだわった「新型」三菱アウトランダー&アウトランダーPHEVのインテリア
https://clicccar.com/2015/06/18/312417/
■燃費と走りの質感向上が図られた三菱アウトランダー&アウトランダーPHEV
https://clicccar.com/2015/06/18/312419/
■三菱アウトランダー&アウトランダーPHEVがビッグマイナーチェンジで迫力ある顔つきに
https://clicccar.com/2015/06/18/312411/
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)