しかしながら、最新の速度規制の見直しでは、
新東名高速道路を始めとする高規格の高速道路については、設計速度120km/hで、かつ、片側3車線以上の道路などに関して、最高速度100km/hを超える速度への引き上げの可否について検討してはどうか。
との具体的な提言がありました。
それを受けた警察庁では、現在の検討状況として、
道路管理者と連携しつつ、新東名高速道路をはじめとする設計速度120km/hの道路における交通事故実態、実勢速度等のデータを収集中
と公開資料(2014年11月)で述べています。
警察庁のそうした動きから、今回はどうも可能性がありそうだという機運が高まっています。
ですが、実際のところ、そう簡単にいけるかどうか…。速度規制に関する様ざまな認識や、1993年から今日にいたるまでの新東名建設の紆余曲折を踏まえると、どうも一筋縄ではなさそうです。
この間の状況をもう少し詳しく見てみましょう。
2006年から2008年にかけて行われた「規制速度決定の在り方に関する調査研究」では、高規格の高速道路における速度規制の在り方について、次のような調査結果が出ています。(警察庁資料参照)
・ 規制速度が100km/hを上回ると交通事故率が増加する
・ 事故発生時の危険認知速度が上昇するにつれて、事故の重大性が増加する
・ 速度差が40km/hを超えると交通事故発生確率が上昇する
・ 免許保有者を対象としたアンケート結果では、約7割が最高速度100km/hのままでよいと回答している
ま、このような認識の下で規制速度の見直しはありえないでしょう。
その後2012年の新東名の運用開始を経て、2013年8月〜12月にかけて有識者による「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会」が開かれました。
その懇談会で、あらためて「新東名高速道路を始めとする…設計速度120km/hで、かつ、片側3車線以上の道路などに関して」最高速度引き上げの可否の検討をと、具体的な提言が行われたわけです。
なお検討に当たっては、以下のような事項について調査・検証の必要性が求められています。
・高齢運転者や初心運転者であっても安全に走行することができるかについての検証
・検証の対象となる道路の視距、勾配、幅員等の道路構造や交通事故の発生状況等を踏まえたデータの収集・分析
・車両速度の上昇に伴う交通事故の危険性の変化を把握するための交通事故の詳細な分析
・現在の規制速度に対する国民の意識調査また、実際に規制速度の引き上げを行うこととした場合には、検証結果等を踏まえた統一的な規制基準を策定した上で、個別の道路について判断していくことが必要であるほか、併せて通行帯違反、車間距離不保持等の取締りや運転者教育を推進していくことが、極めて重要であると考える。
そして現在、2015年度をメドにこうした調査・検証が進められているわけです。