そのイメージは、スポーツシリーズより上をいくスーパーシリーズのP1などと通じるものですが、スポーツシリーズならではのコンセプトを取り入れています。
プレゼンテーションを行ったチーフデザイナーのロバート・メルヴィルによると、このカテゴリーではインテリアの実用性が鍵を握るとのことで、快適性も十分に考慮され、キャビンスペースは最大となっているのが特徴だそうです。
つまり、スーパーシリーズはサーキットを本当に早く走るためのストイックなクルマとなり、スポーツシリーズは日常でも十分快適に使える性能を重視しているということでしょう。
スポーツシリーズは、3.8 リッターV8 ツインターボエンジンを搭載し、最高出力はそれぞれネーミング通りの570PS[562bhp]/540PS[533bph]。パワー・ウェイト・レシオ は434PS/ton[570S] / 412PS/ton[540C]を実現しています。加速性能は、0-100km/h まで3.2秒[570S]/3.5秒[540C]、0-200km/hまではわずか 9.5秒[570S]/10.5秒[540C]で到達し、そして最高速度は328km/h[570S]/320km/h[540C]に達します。
カーボン・ファイバー製のモノセル II シャシーは、乗降の利便性を向上させるなど、日常の使いやすさに重点を置き新しくデザインされています。軽量構造とアルミニウム製ボディ パネルを使用することにより、類似の競合モデルと比べても 150kg 近く軽い、乾燥重量1313kg[570S]/1311kg[540C]という軽量化に貢献しました。
ターゲットマーケットは、スーパーシリーズは他のイタリアのスーパーカーなどがライバルとなり、今回のスポーツシリーズはドイツのスポーツカーがターゲットだと言います。
また、会場には45年前に他界したマクラーレングループの創設者、ブルース・マクラーレン氏の実娘であるアマンダ・マクラーレンさんが訪れ、ブランド・アンバサダーとして登場。「父が死亡してマクラーレンは終わったと言われた。当時、工場にいるメカニックはもう来ないようにと指示されていたのに作業を続けていた。なぜと聞いたら、ブルース・マクラーレンは死んだわけではない。彼はマクラーレン・グループにおいて生きている、と言ったそうです。レーシングカーを作り、ロードカーも作るのが父の夢でした。死亡して夢は消え去ったように見えましたが、マクラーレン・オートモーティブを通じて。彼らがクルマを作っていることを誇りに思います」と語りました。
レースで活躍し、最高レベルの市販車を出し、さらにビジネスとしてマーケットを広げていく。自動車文化の奥の深さの違いを感じさせられます。
(文・写真:clicccar編集長 小林和久)