まるで機械の内視鏡!? エンジン内部の燃焼を見る光プローブとは?

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エンジン内部の燃焼を調べるために使用するのが、光プローブをいう検査装置です。この光プローブの開発で2014年“超”モノづくり部品大賞の『自動車部品賞』を受賞したのが、島津製作所の「エンジン燃焼発光計測用 光プローブ ExDop(登録商標:以下同じ)」です。

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この光プローブ ExDopは、直径が5ミリのネジの中にエンジン燃焼光を計測する機構を内蔵しており、テスト用のエンジンのシリンダ・ヘッドにネジ孔を開けてプローブをねじ込んで取り付けるようになっており、高圧・高温・高振動と過酷な条件にあるエンジン筒内から手軽に燃焼状態の把握に必要な多くの情報を含む燃焼光を取り出すことができます。

同社では、自動車のみならず、船舶・産業用車両・発電機など幅広い分野のエンジン開発において燃焼効率の向上、低エミッション化の推進に貢献できる、としています。

その特長は
 1.耐熱300℃、耐圧10MPa、耐振50Gの高耐久性
 2.60%以上の高い透過率
 3.小径、小形で自由度の高い取付け
 4.光出力コネクタにFC形を標準として採用
 5.プローブ形状のカスタマイズに対応できる
点です。

この光プローブを使用した実験の測定データを次の2つのグラフに示します。これらのグラフは、通常燃焼の場合と不正燃焼のある場合において、燃焼状態を圧力で計測した左側のグラフと、同時に発光で計測した計測したデータを右側のグラフに示しています。
 
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右側の圧力計測で得られたグラフでは、正常燃焼でも、異常燃焼でも大きな違いが見られません。ところが左側の発光による計測データでは、燃焼が完了しているはずの、排気行程(クランクアングル270度近傍)において、点線の楕円で囲んだ部分に、明確な差が出ていることがお分かりにまると思います。

これは排気行程の段階でも火炎が存在していることを示しており、火花点火によらない異常燃焼の発生を見つけることができるのです。

なお、この実験データについての詳細は
「Nagai,T., Hiraoka,R., Iwai,N., Kowada,M., Azumagakito,I., “Development of Highly Durable Optical Probe for Combustion Measurement”, SAE Technical Paper 2015-01-0759,2015」
の論文をご参照下さい。

島津製作所の光プローブは、5月20日(水)~22日(金)に横浜市のパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2015」で展示される予定です。興味を持たれた方は、ぜひ一度見学されてはいかがでしょうか。

(山内 博)