元フェラーリのデザイナー、ケン奥山氏を起用しトラクターを作るというニュースには驚きましたが、その結晶がついに、ヤンマーのフラッグシップ「YTシリーズ」としてデビューしました。
そのホームページに鎮座している姿は、日本に新たにスーパーカーメーカーが誕生したかのようなたたずまいです。
最初にあらわれる強烈なメッセージ「さあ、農業に誇りを」からはじまり、美しく撮りおろされたフォルムは、さすがケン奥山デザイン。どう見ても田んぼよりも公道がお似合いです。
ちなみに山形出身のケン奥山氏の実家は兼業農家。デザインコンシャスだけのトラクターではなく、機能にも優れていることは容易に想像できます。
全国の農家の方と実際に会ってインタビューして得られた「トラクターのなかで8時間以上過ごす」といった実態には、エアコンの吹き出し口を大きくしたり、ドリンクホルダーも増設するなど、フィールドワークで得た発想が反映されているといいます。
さらに、創業100年を記念した本社ビルの新築など、ここでも攻めの姿勢のヤンマー。リニューアルしたロゴを含めたコンセプトメイクは、いまをときめくクリエイター・佐藤可士和氏。ユニクロやホンダNシリーズの広告ビジュアルなどで超有名なお方とがっぷり組んでいます。
変革の精神が伝わるホームページからは「オシャレな農機を作って新規就農者を増やそう」という薄っぺらい考えではなく、本気で業界を変えてやろう、という意気込みが伝わってきますね。
(畑澤清志)