「マツダの新世代4WDシステム『i-ACTIV AWD』の出来がいい」とココやココでお伝えしました。
しかし、わかっていますよ。「記事を読んだって実力はわからないでしょ、実際のところはどうなのよ?」ですよね。
そこで今回は、4WDにとってもいちばん条件が悪い「坂道での発進」の様子を試してみたので紹介ましょう。
雪道を走ったことがある人ならわかると思いますが、そこそこの腕さえあればコーナリングや停止は2WDだってなんとかなっちゃいます。そもそも止まる性能に関してはブレーキペダルを踏んで減速するのであれば2WDも4WDも変わらない(むしろ車重が重いぶんだけ4WDが不利)だし、コーナリングもオーバースピードと急ハンドルさえ気をつければ2WDでもそこそこいけちゃいますからね。
しかし、発進だけはどうにもならない。
平坦な路面はまだいいんです。雪や氷の上り坂は、最悪の場合発進できなくて立ち往生なんていうとんでもなっちゃうことになるわけですよね。ボクだって、信号待ちのあととか、スキー場の駐車待ちの列とかで発進できなくて何度泣きそうになったことか。あの状態の、プレッシャーや後続車からの冷たい視線といったらもう。
だからこそ、4WDには雪の坂道で不安なく発進してくれる性能が求められるのです。ユーザーとしてはそこが大事なんですよね。
さて、マツダの「i-ACTIV AWD」でしたね。なんども紹介しているとおり、CX-5以降のマツダ車に組み込まれているこのシステムはFFをベースに必要時応じて後輪へトルクを伝える「トルクオンデマンド型」。これはシステム構成がシンプルなのが特徴ですが、フルタイム式のように常時4WDではないので一般的にはトラクション性能にやや不満があることが多いんです。スリップしてから4WDになるから、発進時に空転が続いたりとかね。
しかし、「i-ACTIV AWD」がそこらの「トルクオンデマンド型」とはちょっと違う。路面の状態を予測する制御が組み込まれていることで、雪道などではタイヤが動き出し空転を検知する前段階から4WDとしてタイヤが回り始める“賢い”トルクオンデマンド型なんです。
ほんのわずかな作動遅れを嫌って常に後輪へわずかなトルクをかけてスタンバイするなど、フルタイム型に近い性能を発揮するための工夫もたくさん盛り込まれているこだわりのシステムなのですよ。
というわけで、論より証拠。テストコース内の雪の斜面(傾斜角15度)で、ハンドルをいっぱいに切って発進するという意地悪なテストをしてみました。
さあ、ここまで気分を高めておいて、実際には空転してスタートできなかったら笑い事じゃすみませんよ。果たして……