なお、岩谷産業は1100円/kgで、JX日鉱日石エネルギーの方が安いですが、JXでは販売されたFCV(MIRAI)と同クラスのハイブリッド車(ガソリン代)と同等の水準に設定したそうで、「お客様の経済性を考慮した価格設定とすることで、FCV普及を積極的に後押ししていきたいと考えます」とのこと。
トヨタMIRAIは前後に2つ水素タンクがあり、タンク内容積は122.4L(前方60.0L/後方62.4L)。4300円で満タンにするとJC08モードで650km走行可能ですから、燃費計算では650km÷4.3kg=151.1km/kg、コスト計算では4300円÷650km=約6.6円/kmになります。
現在の規制下では水素供給圧力は70MPa。2016年度以降に運用開始される見込みの新規格の水素ステーションでは82MPaと高くなり、一度に水素が充填できる量が増えるため走行距離が約700kmまで延びるそう(MIRAIの水素タンクは87.5MPaまで対応)。
MIRAIと同等程度のハイブリッドカーを何にするのかはMIRAIが4人乗りなど、難しいところですが、ここではクラウンハイブリッド(アスリート)と比較すると、こちらはJC08モード燃費が23.2km/L。140円÷23.2km/L=約6.03円/km。
確かに同等程度といえますが、水素ステーション建設は4億〜5億円超ともいわれ、建設費用の補助金、規制緩和などが推進されても割高感は拭えず、さらに水素の燃料費も1000円〜1100円では当面赤字では? という指摘もあるようですから、FCVを製造する自動車メーカーだけでなく、水素供給事業者も大いなる覚悟で水素社会実現への一歩を踏み出したといえるでしょう。
写真出典:JX日鉱日石エネルギー
(塚田勝弘)
【2020年10月22日更新】:満タンで水素が4.3kg入る根拠を追記しました。