2015年にFCVを市場導入するという経済産業省の目論見(ロードマップ)は、トヨタの頑張りで実現したものの、2015年に100か所程度の水素ステーション建設はまだ40か所程度で「遅れている」という現実もあります。
また、普及に欠かせない官公庁や法人による購入ですが、大都市圏以外の地方自治体などがどれだけ手を出せるでしょうか。2020年の東京オリンピックの頃、どれだけ普及しているのでしょうか?
「デロイト トーマツ コンサルティング」のニュースリリースによると、「FCV年間販売台数は2020年に約5万台、2025年に約20万台、2030年には約40万台になることが判った。経済波及効果はそれぞれ、約8千億円、約2.2兆円、約4.4兆円となる」とのこと。
冒頭から長々と書いてきたように、「本当に?」と疑いたくなる予測ですが、同社も「ただし、市場本格化を実現するためには、水素社会関連のステークホルダーによるチャレンジが不可欠となる。各自動車メーカーには、社会のFCVに対する期待に応えるべく、第二世代の発売を可能な限り早期かつ大規模なものにしていくことが求められる。(中略)また同時に、当面高額なFCVの初期需要を喚起し、FCV需要が限定される当面のステーション事業を支えるためには、政府および地方自治体による支援が不可欠となる」と分析しているように、自動車メーカーの努力やインフラ整備、さらに国と地方自治体によるサポートが不可欠と指摘しています。
こうなると、FCVにだけ「高額の補助金」をつぎ込むのは不公平ではないか!という指摘が出てもおかしくありません。
また、FCVが「水しか出さない究極のエコカー」といっても水素製造時に大量のCO2を排出する現状の問題点もあります。CO2の回収やCO2フリーの活用など、まだまだ課題は盛りだくさんあるのも現実です。
(塚田勝弘)
<訂正のお知らせ2014/12/04>
誤「デトロイト トーマツ コンサルティング」
↓
正「デロイト トーマツ コンサルティング」
お詫びして訂正させていただきます。