走りを含めたレガシィ・アウトバックの長所6つ

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アウトバックという300万円オーバーのフラッグシップモデルと、セダンという日本市場では欧州セダンに席巻されている構成ではやむを得ませんが、北米には3.6Lの6気筒、中国には2.0L DITを搭載しているという話もうかがうと、乗る前は「物足りないかなぁ」と思ったのも正直なところです。

プレス向けの試乗会が行われた西湖周辺は、都心の住宅街と比べれば道幅に余裕があり、一般道とはいえ結構速度域も高め。

ひとつ目の美点は、乗降性のしやすさ

レヴォーグやWRX S4(もちろんSTI含む)と比べると、サイドスカートといったエアロパーツがなく、足さばきがしやすいのが長所。

フロアも少し高めなので、腰を大きめに屈めて「もぐり込む」感覚はありませんから足さばきがしやすく、腰痛持ちの自分でも楽に感じました。もちろん、前後席ともに頭上に余裕があります。

フロントドアの全開時は、先代よりも105mm拡大しているそうで、しかもドアの重さで勢いよく開かないように工夫がされているそうです。しかし、ボディサイズの拡大(全幅20mm)は狭い場所での開閉に不利なのは間違いなく、駐車場の制約から新型アウトバックを諦めざるを得ないケースも出てくるはず。

ふたつ目の長所は、フロントシートの出来の良さ

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サイズや厚みはもちろん、「ランバーサポート機構に樹脂プレートを追加することで腰部へのサポート量を倍増させた」というのは試乗後に再確認してなるほどとこちらも実感。腰痛持ちで安っぽいシートではロングドライブは無理、という方には朗報です。

 3つ目は、自然な運転感覚

走り味は、リヤバルクヘッドを持たないアウトバックとセダンのB4では、ボディの剛性感も異なり、乗り心地もアウトバックとB4での違い、さらに17インチと18インチ(「リミテッド」にスタブレックス・ライド)でも大きく違います。

アウトバックは、先代よりもステアリングのギヤ比を先代の16.0:1から14.0:1とクイックにしているそうですが、基本的にはどの速度域でも舵角の大小を問わず、自然な感覚のハンドリングであることです。

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タイヤもオールシーズン(アメリカ向けはもちろんオールシーズン)から日本向けはサマータイヤ(ヨコハマ・ジオランダーG98)に変わっていますから、グリップ力もタイヤ起因のロードノイズも減っており、サプライヤーには燃費性能はもちろん、静粛性もグリップも全方位要求したとのことです。

BMWは基本的にどの車種もクイックで、アウディも数年前ほどではないですが基本的に中・低速域では軽め、日産がスカイライン・ハイブリッドで世界初採用した「ダイレクトアダプティブステアリング」には初モノならではの違和感と熟成不足を抱かせますが、電動パワステの中では十分に合格点といえるでしょう。

 4つ目は、斜め前方の視界の良さ

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試乗コースは自由とのことでしたので、半分くらいが狭いワインディングになっている本栖湖も1周しました。Aピラーの付け根を50mm前に出し、サイドガラスとの一体感のある三角窓や、サイドウインドウの下端も高すぎず、ヒップポイントも10mmだけ高くなった恩恵は狭い山道でも十分に感じます。

 5つ目は、静かになった2.5Lエンジン

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約80%のパーツを新設計したという2.5Lエンジンは、遮音、吸音の成果もあるのでしょうが、アイドリング時から静かで、アウトバックでも高級といえるステージにあると思います。SI-DRIVEを「S♯モード」にすればそれなりに高回転に張り付きますが、「Sモード」くらいなら十分に静粛性は保たれたまま。

なお、パワーフィールですが、「Iモード」だと郊外路の流れに無理なく乗れる力感でまさに必要十分。少し飛ばしたい時は「Sモード」でとくにパーシャル域からの加速時に吹け上がりの良さを享受できるというところです。

 6つ目は、CVTの課題を抑え込んだオートステップ変速

CVTとしては応答遅れの少ない「オートステップ変速」のリニアトロニックは、Dレンジで走らせている分には、CVTであることを感じさせない「普通」という印象。これはもちろんホメ言葉です。

CVTはアクセルを大きめに踏んでいくと、エンジン回転と音ばかり先に上がってしまい、加速がついてこないのが大きな課題ですが、かなり克服されていて、いわれなければATだと思う人もいるかしもれません。

■スバル「レガシィB4」画像ギャラリー ─ 力強さと洗練されたデザインが魅力の大型セダン
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■スバル「レガシィ・アウトバック」画像ギャラリー ─ 威風堂々としたクロスオーバーSUV
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■新型レガシィ・アウトバックは価格313万2000円、B4は価格286万2000円から発売開始
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(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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