COTYを獲得した新型マツダ・デミオとトヨタ・ヴィッツを比べてみる

新型デミオは高いという印象がありましたが、単純に価格だけではデミオの「13C」の方が安くなっています。ヴィッツにはもちろん、1.0Lがありもっと安く買えますが、ここでは排気量を揃えて検分したいと思います。

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冒頭で紹介したとおり、価格は練りに練られているはずですから当然といえば当然。装備ではデミオには最廉価の「13C」をのぞき、「スマートシティブレーキサポート」と「AT誤発進抑制装置」が備わるのが強みで、「13S」はATだと145万8000円。

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ヴィッツの1.3L/2WDの「F」が145万145円ですから約8000円ヴィッツが安くなっています。

ヴィッツの1.3L「F」には、スマート&ストップが搭載されていますので、装備面でのまず大きな違いは、ブレーキサポートの有無ということになります。ヴィッツは「緊急ブレーキシグナル」のみ。

さらに、デミオの「13S」はカーテン&フロントサイドエアバッグが標準で、ヴィッツの1.3L/2WDの「F」は4万3200円のオプション。ほかにも、デミオは全車にヒルローンチアシストも標準で用意しています。

細かな所では、デミオはオートエアコンをオプションで設定しているのに対し、ヴィッツでは設定なし。

また、デミオはチルト&テレスコピックともに標準装備されていますが、ヴィッツはチルトのみ。さらに、前席のシートベルトアンカーアジャスター(上下調整機構)もデミオは標準ですが、ヴィッツは未設定。

デミオはこうした細かな所にも手を抜いていない(コストダウンしていない)のが分かります。

ディーゼルの価格設定に引きずられて、新型デミオは割高!? という声も耳にしますが、装備的にはヴィッツと比べると、少なくても10万円ほど割安といえるでしょう。

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燃費はどうでしょうか? デミオの1.3LガソリンはATが24.6km/L、ヴィッツの1.3L/2WD「F」は25.0km/Lで若干デミオを上回っていますが、ほぼ互角です。

しかもデミオはAT、ヴィッツはより燃費に有利と言われているCVTでこの数値ですから、後発とはいえ「SKYACTIVE」の威力を感じさせます。

デミオが先代のCVTからATに変更したのは、ドライバビリティの向上があり、さらに今回の1.3Lは、圧縮比を下げてでも全域に渡ってのトルクアップが図られていますから、走りもデミオの圧勝か!? というと実はそうでもありません。

ヴィッツは今春のマイナーチェンジで、燃費向上とともに、ボディ剛性を高めるスポット溶接の打ち増し、フロア下の補強材の大型化、ダンパーの改良など、操縦安定性など走りの質感向上を図っており、「U」グレードも別の機会で試乗した「RS」も、マイナーチェンジ前と比べると「別モノ」といえるほどの進化を遂げてきたからです。

高速域のスタビリティなどは国産コンパクトカートは思えないほど。マイチェン後の走りはデミオと遜色ない印象を受けます。

もし、デミオのガソリンとヴィッツの1.3Lで迷ったら、先述した「装備の差」を選考基準にしてもいいかなと思います。

■「2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤー」をマツダ・デミオが獲得したワケは?
https://clicccar.com/2014/10/13/273039/

■新型デミオのガソリンも軽やかな走りで捨てがたい!
https://clicccar.com/2014/10/07/271932/

■渋谷の通行人まで巻き込む(?)フラッシュモブで新型ヴィッツお披露目
https://clicccar.com/2014/04/22/253454/

■トヨタ・ヴィッツがマイナーチェンジで燃費が一気にリッター25.0km!
https://clicccar.com/2014/04/21/253423/

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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