マツダ新型デミオ公道試乗 ─ ガソリンは1.3リッター以上の力強さ!

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圧縮比は下がったといっても、カタログの主要燃費向上対策の項目に「ミラーサイクル」とあるので、高膨張比領域を利用しているのは間違いありません。

しかし、試乗している限り、ミラーサイクルだからパワーは控えめといった印象を受けることは皆無。むしろ、圧縮比と膨張比がほぼ同等のオットーサイクルで動いているような感触で、1.3リッターという排気量に期待する以上の力強さがあります。

さらに、シフトレバー後方にあるスイッチを操作して「SPORT」モードにすると、トランスミッションの変速タイミングがスポーツモードに切り替えられ、エンジンを高回転寄りに使うようになるのはもちろん、エンジン自体もよりパワフルな制御に変わったような感触。カタログの最高出力は68kW(92馬力)と控えめな数字ですが、一割増といえるほどの体感加速を味わえます。

赤信号などで停止すると、アイドリングストップ機構が働いてエンジンが停止するという環境性能も先代モデルから受け継ぐデミオの魅力。エンジン停止状態からブレーキを緩めると再始動するのですが、そのときの静かで、振動の少ないスムースさはライバルに対するアドバンテージといえましょう。

マツダ独自の「i-stop」テクノロジーは、最適なポジションに停止させたピストンに対して、燃料を筒内噴射、さらにセルモーターにあるアシストを加えることで、短時間で再始動させられる機構。圧縮比12.0というと、いまやポート噴射でも対応できそうな印象もありますが、燃料噴射システムに直噴を使っていることで、スムースなエンジン再始動というメリットがあることが実感できたのです。

 

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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