マクラーレンP1は乗り手を選ぶクルマなのか!?

マクラーレンP1に乗ったことのある幸運な人って、ほとんどいませんよね。

そういう私もその少なくないほうの一人。どんなクルマなんだか、乗り易いのかやっぱり乗りにくいんだか、想像がつきません。

McLaren P1

スーパーカーって低くて乗り込みにくいのは多分同じような感じだと思うけど、運転するとどう違うのか、よく知りません。

けれど、ついに乗ることができました。それも、オーストリアはプラハの特設市街地コースです。

路面電車も走るプラハ市街地は荒れた部分、全くμ(ミュー=路面の抵抗/グリップ)が違う石畳、大きなアップダウンなどが随所にあふれ、風光明媚なコース周辺の景色を見ているヒマはほとんどない、次から次に緊張を強いられるコースです。

ここをP1で走らせます。

さすがに素晴らしい加速。路面から伝わる感触もダイレクトに感じます。けれど、かなりのハイスピード域では、決して運転し易いとは言えません。相当に乗り手を選ぶクルマであることは間違いありません。

アクセルのオン/オフでリヤのトラクションが大きく変化するのはもちろん、クルマの向きが変わる「ヨー変化」に大きな影響を与え、簡単にフルスロットルにすることはできません。

すぐに壁に激突! フロントガラスまでヒビが入ってしまい、ボディもボロボロになってしまいました。

といっても、ご安心下さい。Xbox ONEのForza Motorsport5での画面上でのことです。発売前なのに、体験することができました。

精彩な描画力のおかげで、そのスタイリングは写真と見間違うどころか、写真以上のクオリティにも見えます。そんな絵力でリアルタイムにクルマが傷ついていく、、、とても罪深く感じてしまいました。

さて、乗りこなすのはかなりのスキルと訓練が必要そうだということはわかりましたが、マクラーレンP1って、本当にそういうクルマなんでしょうか? 車両による「差」なんて、ホントは対して違わないんじゃないのかな?と思っても、いかんせん乗ったことのないクルマなので何とも言えません。

そこで、試乗したことがある車両に近いものを選んで同じコースを走行します。アウディならR8やRS6といったスーパースポーツを運転したことがあります。そこで試乗可能なアウディRS7をセレクトしてみました。

audi_RS7

R8はサーキットでも走ったことがあるんですが、乗り手を選びそうなそのスタイルとは裏腹に、ある程度の度胸があれば、なんとなくそれなりに、安全に速く走ることができます。

強力なグリップのタイヤと4輪に駆動力と制動力を、運転手のスキル以上に効率良くちゃんと働かせてくれるので、まるで自分の腕が上がったように感じさせてくれて、楽しくなってきます。

また、RS6はおそらく世界最速の市販ワゴン。とは言え、ゆっくり走る限りそんなポテンシャルが秘められているための気難しさなどはまったくなく、スピードを上げて走らせない自制心を抑えるのができなくなっても、不安感など微塵も感じさせずに相当な速度で走ってくれます。

Xbox ONEのForzaMotorsport5のRS7もまったくそういった挙動。先ほどのP1がコントロールに苦慮した(というよりできなかった)のに比べ、アクセルを開ければ速度を増し、曲がる方向にハンドルを切れば曲り、スピードが高過ぎかな、と思えばブレーキを踏めばいい。

まさにアウディがクワトロシステムで実現している4つのタイヤのすべての力を全方向に引き出すことができることを再現してくれています。

限界を超えたときの動きもわかり、「R8であの時これ以上踏んでたらイッちゃってたんだな」というのも感じられて、ゾッとしました。

いや、しかしアウディがハイスピードでもコントローラぶるなのもわかるけど、やや自分の腕も上がってきたんじゃないかな? と思い、次にフェラーリF12 berlinettaをセレクト。V12サウンドはその気にさせ、伸びやかに回るエンジンはいつまでも加速してくれそうです。しかーし。案の定、コーナーで飛び出し、車両は無惨な姿に・・・。やっぱりフェラーリには選ばれない男なんだと反省しきりです。

Ferrari F12berlinetta

最後に、見たことも聞いたこともないAriel Atom 500 V8に乗ってみます。これは楽しい! 見るからにクルマの形をしていませんが、4つのタイヤでヒラヒラと飛ぶように路面を駆け抜ける。思い通りにクルマを操ることができ、けれどアウディのように機械がやってくれているのではなく、単純に思い通りに走らせている感覚です。これはぜひ実車に乗ってみたいという衝動がグングン沸いてきます。

Ariel Atom 500 V8

ひと通り楽しんだ後、設定で、クルマが飛び出さないようなスタビリティコントロールなどのアシストがかなり強く入っていたことを知り、やっぱり自分のウデのなさを思い知りました。しかし、だからこそ、これは家庭に設置してぜひハマってみたいと強く思ったのでした。

Xbox ONE 2 Xbox ONE 1

(小林和久)

 

 

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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