新車を購入すると、エンジンの慣らしが必要といわれてきました。取扱説明書から「慣らし運転」の文字が消えつつありますが、いまでも必要ない、必要だ! と賛否両論があります。しかし、とくにエンジンは、金属同士が触れ合う部分がありますから急に全開まで回すのはどうかな、と思いますが……。
さて、それ以外のパーツはどうでしょうか? クルマは納車された瞬間から乗っても乗らなくても日々古くなっていきます。
ショックアブソーバーなんかは少し時間が経ってから「馴染んでくる」なんていう人もいますが、少し距離を走れば確かにスムーズになることもあるかもしれません。
でも、初期性能を維持するには距離を重ねることは不利になり、劣化していく以外の何者でもないはず。
そう、よく考えるとクルマのパーツは、日々走行を重ね、時間の経過で劣化していくものなのです。
ですから、教習所で誰しもが習うはずの日常点検や法定点検(定期点検)、そして、車検が必要であり、これらの点検・整備を怠ると重大な事故につながる可能性があります。
こうした話は「お節介だよ」、あるいは「耳が痛いけど、まぁ大丈夫」という方もいるかもしれませんが、整備不良や故障でロードサービスを呼ぶくらいならまだしも、重大事故が起きる可能性もあるとなると無視できないはず。
その一例として、国土交通省では点検・整備を怠ったことが原因と思われる実例を挙げていて、たとえば「エンジンオイルの適切なメンテナンスを怠っていると、エンジンオイルの劣化により潤滑不良に至ることでエンジンが破損し、最悪の場合、火災が発生することがあります」と注意喚起していますし、整備不良による事故のうち、タイヤ不良と制動装置不良(ブレーキ)が上位1位、2位を占めている例も公表しています。
そこで、適正な点検・整備を通じてクルマ社会の安全確保や、公害防止や環境保護、そしてユーザーの利便の向上を推進するため、自動車整備振興会では、マイカーの適切な点検・整備を促し、事故の防止を図るために毎年、9月と10月の2か月間、「マイカー点検キャンペーン」を実施しています。
実は、1986年にスタートして今年で28回目を迎えるという歴史のあるキャンペーンで、今年も9月1日〜10月31日まで開催されます。
今年のスローガンは「それいいね! 安全シェアする マイカー点検」というもので、キャンペーンの一環として無料の「自動車点検教室」が全国各地で開催されます。
「自動車点検教室」とは、各都道府県自動車整備振興会でクルマの構造をはじめ、点検・整備の必要性、保守管理の大切さ、日常点検の実施方法、タイヤの交換方法、タイヤチェーンの装着方法について理解できるように、実車で分かりやすく解説してくれる教室です。
どれも知っておけば、整備不良や故障を防げる可能性が高まりますし、いざという時に役立つメニューが並んでいますから、下記のサイトを参照してお近くの「自動車点検教室」に参加してはいかがでしょうか?
■マイカー点検キャンペーン
http://www4.jaspa.or.jp/jaspahp/user/event/mycar.html
(塚田勝弘)