ランクル70が期間限定発売の“真の理由”とは? 開発陣に聞いた5つの質問

10年の時を経て復活したランドクルーザー70。

25日にはメガウェブで発売に先立つファンへのお披露目として「70 COME BACKセレモニー」がおこなわれ、チーフエンジニアの小鑓貞嘉さんやトヨタ自動車製品企画本部の大原義数さんも参加。ファンからの質問に答える企画も用意されていました。

今回は、そこでのQ&Aに独自取材に加えた「開発陣が答えるランクル70の疑問と回答」を紹介しましょう。

IMG_3165

1:なぜディーゼルエンジンを売らないの?

──確かに世界販売では約8割がディーゼルで日本のみなさんにもお届けしたい気持ちはある。しかし、(世界トップレベルの厳しさである)日本のディーゼル規制に適合するディーゼルエンジンを積んでいないので販売できない。

2:なぜ期間限定なの?

──安全性などに関して最新でない部分があるから、特別に期間限定の形とした。延長はあまり考えていない。

3:なぜショート3ドアはないの?

──本当は出したかった。しかし、国内の基準に適合できない部分があるので発売できなかった。その基準を満たすにはかなり大幅な変更が必要だ。(註:かつて販売していた時代と今では基準が異なる)

4:ATがないのは?

──本来、70にはMTしか存在しない。かつて日本にあったのは、日本限定の仕様だった。今回は輸出仕様になるべく手を加えずに日本で販売することになったので、ATは載せなかった。

5:なぜハイオク仕様なの?

──エンジンはプラド120系用がベースで、ハイオクの仕様を前提に出力を重視したもの。スペック通りの出力はでなくなるがレギュラーガソリンにも対応しているので、状況により(燃料を)使い分けて欲しい。

IMG_3273

それにしても、本来なら答えにくいような質問に対しても正直に答えてくれたあたりに開発者のランクル70への熱意を感じたのはボクだけじゃないはず。ファンに対して真摯に向き合う姿が印象的だったとともに、ランクル70への愛が伝わってきました。

IMG_3151

ちなみに、発売期間は「来年(2015年)6月30日生産分」まで。ここまで厳密に決まっているということはよほどの事情があるに違いない、と確認したところやっぱりありました。

来年7月1日より衝突に関わる安全基準が改正されるそうで、現状ではその基準に対応できないそうです。

その基準とは、後ろから衝突された際に衝突したクルマが後部車体下へ潜り込まないための後部地上高の制約の規定。いずれにせよ、よほどの大どんでん返しが起きない限りランクル70日本仕様の生産は来年6月30日まで。販売終了間際になると駆け込み需要で早めに受注がストップしてしまう可能性も高いので、買うなら早めにですよ!

(工藤貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
続きを見る
閉じる