基本的なメカニズムは共通の、北米仕様WRXと日本仕様WRX S4ですが、対応するガソリンの違いなどによってエンジンスペックは意外なほど異なります。
日本仕様WRX S4
最高出力:221kW(300ps)/5600rpm
最大トルク:400Nm(40.8kg-m)/2000-4800rpm
北米仕様WRX
最高出力:268hp/5600rpm
最大トルク:258lb.-ft./2000-5200rpm
北米仕様の最大トルクはポンド・フィート表記ですが、これをSI単位に換算すると約350Nmとなります。
じつは、スバルの現ラインナップでWRX STI以外に採用されているMTは容量的に350Nmをリミットとしているのだそうです。ですから、北米仕様と同じ6速MTを日本のWRX S4に搭載しようとすると、エンジンの最大トルクを絞る必要が出てくるといいます。
すなわち北米仕様のWRXと同じMTをWRX S4に搭載するためにはパフォーマンスを犠牲にすることになるのです。
一方、WRX STIに組み合わせている高トルクに対応した6速MTと直噴ターボを組み合わせるには、それが日本仕様に限定されてしまう状況では、コストが上がってしまい現実的な価格が難しいともいいます。
そのほか、スバルの企業哲学としてプリクラッシュブレーキシステムである「アイサイト」は、2ペダルとの組み合わせしか考えていないという要素もありましょう。
WRX S4 にMTが用意されない最大の理由は、最大トルク400Nmが生み出す『ブルーボクサー』のパフォーマンスを優先したからというわけです。
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(山本晋也)