ハンドルもブレーキもない米Google自律走行車の普及に向けた課題とは?

既報のとおりGoogleが5月27日、Lexus RX450hを改造した自律走行車の街中試乗会に続いて、ハンドルやペダルが無いプロトタイプモデルの試乗会を開催。 

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愛嬌いっぱいのコンパクトなボディにお馴染みの回転型3Dレーザーセンサーを設置、インテリアは2座のシートやスタート&非常停止ボタン、目的地や走行ルートを表示するタッチスクリーンのみというシンプルさ。

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今夏までに100台の試作車を造る計画だそうで、今回の試乗車では安全の観点からか最高速度が約40km/hに抑えられています。 

Googleは試乗会でのお年寄りや子供達の楽しそうな表情が印象的な動画を公開。 

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以前にも触れたとおり、そもそもGoogle社のセバスチャン・スラン氏が自動運転技術の開発に取組む事になったのは同氏が18歳の時に親友を交通事故で失ったことに始まっています。 

従ってGoogleが目指しているのはあらゆる状況にも100%の正確さで対処可能な自律走行車であり、交通事故全体の93%を占めている人間の判断ミスを排除して交通事故をゼロにする事が最終目標。 

今回のプロトタイプモデルがそれまでと違ってハンドルやアクセル、ブレーキが一切無いのも、そうした思いを具現化して世界にアピールするためと思われます。 

同社がここまでの技術をモノにするには並々ならぬ困難が伴ったようですが、約112万kmを無事故で走破した現在でも、まだ技術的には道半ばで、実用化に漕ぎ着けるのは6年後の2020年としています。 

信号が無い交差点での微妙な譲り合いのタイミングなど、一般ドライバーとのコミュニケーションの難しさなどが背景に有るようです。 

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そして何よりも大きな障壁となるのが、故障などで事故が発生した際の責任問題。 

例え100%完璧な「自律走行」が可能になっても、車両の日常メンテナンス不備や以前にご紹介した「ハッキング」による事故の可能性など、課題は尽きません。 

従って現実的には「手動運転」との併用でスタートするなど、「自動運転」のレベルに段階を設ける事になりそうな気がしますが、運転が困難な高齢者等にとって優しい技術である事は間違い有りません。 

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Googleの試験走行を許可しているカリフォルニア州では車両管理局が来年の1月1日までに公道での安全走行実現に向けて必要な規制案を作っている模様。 

自動運転車の普及は同州での実績をベースにしながら次第に世界中に広がって行く事になるのかもしれません。 

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 (Avanti Yasunori) 

【画像をご覧になりたい方はこちら】 https://clicccar.com/2014/06/06/258374/

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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