マツダのロータリーとR360クーペ、ロードスターとAZ-1の知られざる関係とは?

現在マツダは、スズキから軽自動車のOEM供給を受けています。しかしもともとマツダは、スバル360と同時期に軽を開発・販売していた老舗なのですね。

しかも歴代のマツダ軽には、ロータリーエンジンとロードスターの開発責任者が担当した車種も含まれています。実はマツダの軽自動車には、マツダが誇る敏腕エンジニア達と深い関わりがあるのです。

■R360クーペの生みの親は「ミスター・ロータリーエンジン」

マツダは1960年にRRの軽乗用車R360クーペを発売しました。開発責任者は後のミスターロータリーこと若き日の山本健一氏で、お洒落なクーペスタイルを庶民の手が届く安価な価格で実現したのです。R360クーペの後継は、クリフカットが斬新なキャロル360。サイドから見ると、クリフカットはリアの居住空間のため、トランクはRRユニットのためだったのですね。独創のスタイルは、パッケージングに裏付けられていたことが良くわかります。

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■シャンテでの軽市場撤退とキャロルでの復活

キャロル360の後継はシャンテですが、この頃マツダは普通乗用車に経営の軸足をシフト。そのため550ccの新規格に対応することなく、マツダはシャンテを最後に軽市場から撤退しました。時は流れて19年後、マツダが仕掛けた販売ブランド拡大戦略の中で、軽のキャロルが復活しました。新生キャロルは、スズキからパワートレーンの提供を受けて開発したマツダオリジナルのクルマで、キュートなデザインが特徴でしたネ。

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■ロードスターの産みの親が開発したAZ-1

世はバブル真っ盛り。「ミッドシップ+ガルウィング+DOHCターボ」で武装した軽スポーツ・AZ-1がデビューしました。開発責任者には、初代ロードスターの産みの親・平井敏彦氏が就任。ロードスターではFRの素性を突き詰めて「人馬一体」の走りを実現し、AZ-1ではミッドシップを活かして「カートのような敏捷性」を追求しました。両車は全くの別物ですが、凄まじい制約条件の中、徹底的に「走りのパッケージ特性」を磨き上げた開発思想に、共通のDNAを強く感じた次第です。

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(拓波幸としひろ)

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