米テスラ・モーターズの「モデルS」に続いてBMWが今春、軽量コンパクトEV「i3」を国内導入するなど、航続距離不足で普及が足踏みしている日本のEV市場に新たな動きが出始めています。
また年内にはVWが日本製EVへの対抗モデルとしてコンパクトカー「up!」のEV版「e-up!」を、来年には「e-Golf」をそれぞれ導入予定。
欧米勢が日本に「EV」を積極導入する背景には以下の狙いがあると考えられ、当然ながら日本の市場動向を十分リサーチした上での判断と思われます。
・他国に比べて日本には既にエコカーの土壌が存在
・「HV」が主流の日本市場では「EV」の方が新鮮に感じる筈
・自国内の厳しい燃費規制対応で発生した巨額なEV開発費の回収
・日本の自動車4社共同によるインフラ整備が加速する見込み
ロイターが伝えるところによると今月18日、EVで先行する日産がこうした欧米勢の動きに対抗して三菱自動車と共同開発中の軽自動車をベースにした安価なEVを2015年以降に発売する予定が有る事を明かしたそうです。
また日経新聞によると、中国で「PM2.5」に代表される大気汚染が深刻化する中、従来は充電可能な「EV」や「PHV」に限定していた購入補助金を「中国現地生産」を条件に「HV」にも支給する検討に入ったと言います。
ちなみに中国政府は現在EV購入時に最大で5.7万元(約94万円)、PHVには一律3.3万元(約 55万円)の購入補助金を支給しており、今回HVにも1.5万元(約25万円)の補助金支給を検討している模様。
北京や上海、広州など大都市で渋滞緩和を目的に課しているナンバープレート発給制限についてもHVを対象外とする緩和処置を検討中とか。
(2013年上海モーターショーに出展された中国専用HV トヨタ 雲動双撃II)
中国は2020年までに500万台のEV普及を目指しているものの、充電インフラ整備が進まないことから販売が伸びず、展開が遅れた環境対策をHV拡販で挽回したい考え。
こうした中国の情勢を踏まえてVWやアウディ、GMなどの欧米勢やトヨタ、ホンダなど日本勢も中国専用HVの生産に向けて開発を急いでいます。
従って中国は当面「HV」を活用して環境改善を進めることになると予想される為、欧米勢は充電インフラが整うまでの間、EV展開の矛先を中国より難易度が低い日本市場へ向けているものと推測されます。
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