クワトロも、アルミボディも、ディーゼルもレースから市販車へフィードバックさせてきたアウディ。
今回の新型A8には、対向車や前走車などに、自動的に眩しくないよう調整するヘッドライト「マトリクス LED ヘッドライト」が採用されています。
まずはその「動き」をご覧下さい。
対向車と見立てた懐中電灯がある位置は暗闇が追いかけるようにヘッドライトを照射しない。
これまでも、対向車を感知してハイビームをロービームに切り替える仕組みはあったんですが、対向車を確認してロービームに切り替え、再びハイビームに戻るとき、確実に対向車がいなくなるまで戻せないので、ほんの少しだけタイムラグがあり、照らせない部分がある。それをほぼなくすことができたのがこの「マトリクスLEDヘッドライト」なわけです。
ABSが単に自動的にロックしないブレーキであるだけでなく、4つのブレーキを別々に制御できるように、ヘッドライトのハイ/ロー切り替えを自動でやるだけでなく、これまでの仕組みではできなかった細かな配光を可能としてくれるのです。
そこに使用されているのは25個のLED。そして、その配光の組み合わせはなんとおよそ10億通り! そんな切り替えをドライバーができるはずはできません。人間が楽になるという発想ではなく、安全に対して隙を作らないという姿勢がアウディブランドなのかも知れませんね。
(小林和久)