D1GP2014開幕戦は、春の嵐がニューヒーローを生んだ?

追走どころじゃないクライシス!

D1GP開幕戦。日曜日のお昼すぎのスタッフ無線は、戦場か災害現場といったところでした。朝から雨は降っていたものの、午前中は競技が行われ、お昼休みのイベントも開催されていました。しかし、昼過ぎにはそこに強風が加わり、台風なみの暴風雨となっていったのです。機材は浸水し、テントは破壊され、観客は屋内に退避せざるをえない状況でした。

つまり、競技どころか、観客、スタッフの安全が保たれるかどうか、ギリギリの状況にまでなったのです。その結果、午後の競技はとりやめになり、上位8人は前日の単走決勝の順位がそのまま総合順位に適用され、9位以下は、午前中に行われた追走予選の勝者が9〜16位に、同じく敗者が17〜24位になり、それぞれのなかではやはり前日の単走の順位によって総合順位が決定されました。

 D1GP_Rd1_01

しかし、その波乱の大会の結果、ニューヒーローが誕生しました。Team UP GARAGE with DRoo-Pの松川和也選手と、Team UP GARAGE with BANDOHの片岡龍也です。松川選手は過去に何度も準決勝には進出しているものの、優勝経験はありませんでした。今回の単走では、審査コーナーの手前で奥めまでスピードを維持してから振り出し、ギリギリで減速してまわりきるというトレノ(AE86)の軽さを生かした走りで初の単走優勝を決めていました。それだけでも嬉しかったのに、それがそのまま総合優勝になってしまったのです。

 D1GP_Rd1_02

また片岡龍也選手は、ご存じのひとも多いでしょうが、”あと一歩でF1″というところまで登りつめた生粋のレーシングドライバー。やはりD1選手のなかでは富士スピードウェイを走り慣れているだけに、高い車速と正確なコントロールで予選をトップ通過してきていました。単走決勝ではさらに得点を伸ばし、松川選手に次ぐ2位の順位を獲得していたのです。片岡選手は運転の基本技術こそ高いものの、特殊なスキルが要求される追走の経験は少なかったので、これまで上位進出はありませんでした。それが一気に準優勝となったのです。

D1GP_Rd1_03 

近年のD1で初優勝するには簡単にポンとはいかず、何度もその手前でハネ返されて、やっと初優勝というパターンが普通です。しかし、いちど優勝してしまうとなにかコツをつかむのか、意外と2回目の優勝は早いというのもまた事実です。そう考えれば、松川選手はこれで完全にトップ選手の仲間入りを果たしたといえるでしょう。また、片岡選手もこれで活躍のきっかけをつかむことができたかもしれません。

 D1GP_Rd1_04

左が2位の片岡選手。右が1位の松川選手です。

(※写真提供:D1コーポレーション) 

なお、悪天候のためにD1が途中終了になったのはこれが史上2回目。前回は3年前のオートポリスでしたが、そのときは単走で1位をとっていた織戸選手が総合でも初優勝となりました。

2014年D1GPシリーズ第1戦富士リザルト

順位 No. ドライバー チーム
1 99 松川 和也 Team UP GARAGE with DRoo-P
2 19 片岡 龍也 Team UP GARAGE with BANDOH
3 92 高橋 邦明 GOODYEAR Racing with kunny’z
4 34 手塚 強 GOODYEAR Racing with Bee★R
5 9 末永 直登 YUKE’S チームオレンジ
6 81 唄 和也 GOODYEAR Racing with ORIGIN Labo.
7 70 横井 昌志 D-MAX
8 6 内海 彰乃 RC926 with TOYO TIRES
9 7 末永 正雄 Team RE雨宮 SUNOCO
10 22 田中 省己 SEIMI STYLE DRIFT with TOYO TIRES
11 2 斎藤 太吾 SUNOCO・PHAT FIVE RACING
12 60 今村 陽一 OTG Motor Sports
13 52 田中 裕司 NICHIEI with 魂同組
14 25 織戸 学 MAX ORIDO RACING
15 55 エマニエル アマンディオ MOODS GALLERY with SIS-WORKS
16 78 上野 高広 TEAM VERTEX with CAR GUY
17 5 高山 健司 TEAM MORI with GOODYEAR
18 67 谷口 敦史 club N2H
19 62 アンドリュー グレイ powervehicles
20 15 佐久間 達也 Team TOYO TIRES DRIFT with GP SPORTS
21 86 日比野 哲也 Team UP GARAGE with DRoo-P
22 1 川畑 真人 Team TOYO TIRES DRIFT TRUST RACING
23 43 田所 義文 TOYO TIRES with SPEED MASTER
24 63 黒井 孝真 GOODYEAR Racing with ORIGIN Labo.

 D1GPの各種情報は、D1公式サイト(http://www.d1gp.co.jp)でご覧ください!

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
続きを見る
閉じる