今どきのターボ車はターボラグが少なく、あまり感知させないものも出始めています。個人的には最近試乗した中では、フォード・フィエスタに搭載されている1.0Lの「EcoBoost」エンジンなどは、分厚い低速トルクによりそのターボラグの存在を感じさせない代表例に思えました。しかし、実際はわずかでも過給を始めるまでの間があるのは機構的に当たり前です。
ジュネーブモーターショーで披露された「フェラーリ・カリフォルニアT」には、3885ccのV8直噴ターボが搭載されています。ツインスクロール・タービンに加えて、フリクションを低減し、F1譲りのフラットプレーン・クランクシャフトを採用することで、ターボエンジンで初めて実質的にターボラグを取り除くことを達成。
また、リトラクタブルハードトップの開閉や走行シーンが収められた動画も公開されています。
選択中のギヤに合わせてトルクの発生を調整するという、ユニークな可変ブースト・マネジメント・ソフトウェアにより速度が高まるほどパワフルなピックアップを見せながら燃費低減を実現したとのこと。
F1でもターボはパワー増強だけでなく、効率向上のための選択であり、「カリフォルニア」と比べて70cv、最大トルクも49%も向上しながら燃料消費を15%削減。これにより航続可能距離も15%向上しています。
シャーシでは新しいスプリングと、50%高速化された最新バージョンのマグネライド・ダンパー、ボディモーション加速度計によりロールとピッチングを抑制し、正確なハンドリングと快適な乗り心地を両立しているのも自慢。
さらに、最新仕様の「F1-Trac」は、コーナー脱出からの最大加速をもたらし、「ESP8.0プレミアム・システム」と呼ぶABS制御に、新しいコンポジット素材のディスクとパッドを採用する「CCM3カーボンセラミック・ブレーキ」が組み込まれており、100-0km/h減速距離34mという極めて短い制動距離も実現しています。
(塚田勝弘)