マツダでは「スカイアクティブ」導入前など、大きな技術革新を成し遂げる見通しがある程度ついた段階で、マスコミを集めて最新技術の勉強会を定期的に開催しています。
今回のお題は、ロータリーエンジンを活用したレンジエクステンダーのコンセプトの座学と試作車の試乗という内容。
アウディもA1のプロトタイプ「A1 e-tron」で、発電用のロータリーエンジンを搭載していますが、マツダの試作車はすでにリース販売されているデミオEVに、330ccのロータリーエンジン、9Lの燃料タンクやオイルパンなどからなる小型・薄型設計のシステムを搭載するというもの。
2倍の回転数でジェネレーターを回すためにベルト駆動方式を採用していて、回転数を2倍にすることで約5%の効率改善を実現しているとのこと。
なぜロータリーエンジンが距離延長用発電機に選ばれたかというと、まず「静粛性に優れ、エンジンがコンパクトである」点で、ほかにもガソリンだけでなくCNGや水素、バイオ燃料など多彩な燃料に対応できる、マルチ燃料への適合性により移動式の発電機への活用も考えられるなどが挙げることができるそうです。
ベース車のデミオEVは約200kmの走行が可能で、毎日走る距離は十分まかなえるはずですが、それでもリース先からは航続距離への不安や不満が上がっているそうで、EVを普及させるには航続距離を延ばすことが欠かせません。
22kWを発生するレンジエクステンダー用ロータリーにより航続距離は、下記で紹介する米国カリフォルニア州の「CARB」規制上限の2倍近い約180kmの延長が可能で、約380km走行することができるようになります。
まず、レンジエクステンダー搭載車の試乗前に、ガソリン車よりも約300kg重くなったデミオEVで敷地内を走り、その後に試作車に乗ってロータリーエンジンの始動、停止による音・振動を確認するというもの。
最初に助手席に座ると、約10km/hで始動するというレンジエクステンダーユニットの存在は音・振動ともにほとんど感じられませんでした。同ユニットは、ラゲッジの床下と荷室に左側に制御ユニットが搭載されているため、後席に座ると水平方向に回るロータリーエンジンが回る音が聞こえますが、振動といえるほどのものは感じられません。
同ユニットの実現性は、コンセプトも走行フィールからしてもかなり高いように思えましたが、まず、米国カリフォルニア州で一定数のゼロエミッション車を販売しないと「CARB」規制をクリアできない、つまり同州では商売できないという規制をパスするための切り札であり、日本ではEVの価格など当然ながら課題になるはずです。
(塚田勝弘)