昨秋中国で発生した尖閣諸島の領有権を巡る大規模なデモ発生から一年以上が経過。
折からの日中政情から勃発したデモに乗じて販売店が襲撃されるなど、その後長らく日本車販売が低迷しましたが、今年9月以降ようやく活気を取り戻しつつあります。
中国における自動車販売台数は9月・10月が193万台、11月が204万台(+14.1%)と好調に推移しており、販売・生産ともに単月では過去最高を記録。 今年1‐11月の販売累計は1,986万台(同+13.5%)で年内に2,100万台を突破する見込み。
中国汽車工業協会の発表によると日系乗用車の11月度販売は32.5万台と尖閣問題で大幅減となった反動や相次ぐ新型車投入が奏功して外資系で首位に返り咲いています。
日系車以外ではドイツ車が26.4万台で2位、米国車が21.5万台で3位、韓国車が14.5万台で4位、仏車が5.4万台で5位の状況。
中国ブランド車がシェアを落とす中、日系乗用車の販売台数はシェアが19%を超えるまでに拡大しており、これをブランド別に見ると以下のような推移を示しています。
本年9月以降の大幅な販売の伸びが見てとれる状況。
中国は環境汚染問題、エネルギー問題や交通問題などを抱えているものの、まだ半分の人口がオートバイを使用しており、現在の自動車保有台数(1.2億台)と同等の潜在需要が存在するとか。
中国汽車工業協会は日本車の販売が急激に伸びている背景について、アフターサービスの充実が消費者の満足度を高めていることや、トヨタの中国合弁企業とのHV共同開発・HV基幹部品の現地生産決定などが中国人の日本車に対するイメージを変え始めていると見ているようです。
そうした中、経団連の米倉会長やトヨタ自動車の張名誉会長らが11月に経済交流会談で訪中するなど、日中関係に再び明るい兆しが見え始めています。
ところが中国は訪中団が帰国した直後の11月23日、そんな友好関係の修復に冷や水を浴びせるような「防空識別圏」の拡大を一方的に宣言。
尖閣諸島を含む日本の空域だけで無く、韓国の防空識別圏空域も含まれていることから国家間問題に発展。 韓国もこれを機に中国に対抗して空域を拡大。
「防空識別圏」とは、連絡の無いまま領空に接近・侵入が予測される外国の航空機に対して警告や退去勧告を行う空域のことを指します。
中国はこの空域を飛行する航空機に対して、中国側に通告すること、双方向の無線通信を維持すること、機体に国籍を明示することを要求。
こうした中国の一方的な行為に対して安部首相は「関係国とよく連携しながら、中国側に対し公海上空の飛行の自由を妨げるような一切の措置の撤回を求めていく」としています。
経済面で日中が再び力を合わせようとしている最中の出来事だけに、果たして中国が国家として内部統制がとれているのかどうかも怪しい限りですが、何れにしても再び無用な経済損失を招く事態に発展する事が無いよう、政府の賢明な対応が求められることになりそうです。
■外務省 Webサイト
・報道発表
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_000332.html
・日中間の尖閣諸島をめぐる情勢について
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/index.html
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