3代目となるマツダ・アクセラは、先代同様に世界戦略車であり、欧州ではフォルクスワーゲン・ゴルフやメルセデス・ベンツAクラスなどのCセグメントに属します。
Cセグメント、ひと言でいえば強烈。競争が激しすぎる上にライバルが強力ときています。VWゴルフがトータルバランス型とすれば、スタイルが評価されているAクラスはスポーティ系、BMW1シリーズは唯一無二のFR、フォード・フォーカスは排気量大きめのNAエンジンと走りと、ほかに負けない飛び道具が必要なワケです。
新型アクセラといえば、スタイルや走りも注目ですが、やはりハイブリッドでしょう。クリーンディーゼルを含む「スカイアクティブ全部のせ」も強みではありますが、日本はともかく欧州で戦うにはあって当然の持ち札に過ぎません。
では、ジョーカーとなるハイブリッドはどうでしょうか。少なくともハイブリッド大国になった日本ではいまや設定がないと商売にならないほどで、現行カローラも開発陣が登場時否定的だったハイブリッドを投入せざるを得ない状況になっています。
システムはトヨタから供給を受けた「THS2」に、マツダ製の2.0Lエンジンを搭載し、99ps/142Nmのアウトプットと、モーターは82ps/1207Nmを発揮します。
じつはこれ、プリウスの1.8Lと同じエンジン・アウトプットと、モーターを含めたシステム最高出力も同じ。走りのバランスを追っていくと、このスペックが最もしっくり来たそうですから、現行プリウスの完成度の高さを裏打ちするものといえます。
パワー感も当然ながらプリウスに似ています。中・低速域ではトルクフルで、さらに踏めば十分に速いですから高速道路でも容易に流れをリードできるでしょう。ブレーキのフィーリングも自然で、プリウスよりもダイレクトな利きを感じさせます。
また、走り出しから停止時まで当たり前ですがとにかく静か。プリウスよりも静かかも。ハイブリッド以外でも遮音、吸音性の高さを実感できる新型アクセラですが、試乗前に気になっていた低速時のコツコツした乗り味、つまりこのクラスの国産車に散見される安っぽい乗り味もほとんど見受けられません。
エンジン停止の機会を拡大させたというアクセラ・ハイブリッドですが、エンジンの始動は普通のアクセル開度ではなかなか察知しにくく、高い負荷をかければエンジンの存在が分かりますが、ハイブリッドに求められる静粛性はしっかり確保されています。
アクセラの開発主査の猿渡氏は、2009年登場の先代アクセラやビアンテなどで「i-stop」の担当をされていただけに、当時よりもアイドリングストップの頻度が多くなり、再始動性の音や振動なども抑えられていて、この分野ではトップクラスにあります。
(文/塚田勝弘 写真/冨士井 明史)