韓国車の苦難!試練の隣国最新情報!

2001年に日本市場へ参入後、2004年に放映されたTVドラマ「冬ソナ」の一大ブームに乗って「ソナタ」を売り込むなど、日本での新車販売を試みたものの、結果が出せずに2009年11月に日本市場からの撤退を決めた「HYUNDAI」。

HYUNDAI_SANTAFE

日本から姿を消して久しいことや、その後の国交情勢悪化も手伝って、日本の自動車メディアが話題に取り上げる事も少なくなった為、同社の販売状況もベールに包まれている状況ですが、その後の様子はどうなっているのでしょうか。 

HYUNDAI_SANTAFE

日経新聞によると、同社の世界販売は中国など新興国で伸びているものの、先進国では新型車の不足や韓国工場の労使対立から生産台数が確保できず、結果的に販売面で日本勢に押されて伸び悩んでいると言います。

そうした中、HYUNDAIが10月24日に「ジェネシス」のフルモデルチェンジを発表。

HYUNDAI_GENESIS

また2014年春頃には同社の中核を担うミドルクラスセダン「ソナタ 」のモデルチェンジも予定している模様。 

HYUNDAI_SONATAHYUNDAI_SONATA

KIAを傘下に従えるHYUNDAIグループは2012年には米国で累計126万台を販売して日本車に肩を並べるまでに大きくシェアを拡大。 

世界販売が710万台に達するなど、世界第4位の日産・ルノーに続く第5位のポジションを獲得しました。 

しかし今年に入って、米国で販売する新車の約4割を韓国で生産するHYUNDAIは8月に韓国工場で発生した半月間に及ぶ大規模なストライキによる生産台数減や、昨年米国で発覚した計13車種に及ぶ「燃費の過大表示」によるイメージダウンの影響からか、9月の米国販売ではHYUNDAIが5.5万台(-8.2%)と落ち込み、傘下のKIAについても3.8万台(-21%)と大きく販売台数を落としています。

 KIA_CERATOKIA_CERATO

1-9月の累積販売台数で見てもHYUNDAIが54.8万台(+1.6%)と停滞気味で、KIAも41.6万台(-4.3%)と昨年までの勢いに陰りが見えている状況。  

米国のみならず、韓国内に於いてもその傾向は出ており、韓国で約9割のシェアを占める自動車5社(HYUNDAI、KIA、韓国GM、ルノーサムスン、双竜)発表によると、2013年9月の販売台数は約10.1万台(-12.8%)で、1-9月の累計販売台数でも101万台 (-0.5%)と前年同月比で低迷している状況。 

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KIAを含むHYUNDAIグループの国産車シェアは8月以降、2ヶ月連続でそれまでの80%台から70%台に下降しています。 

一方、韓国輸入自動車協会(KAIDA)のデータによると韓国に於ける9月の輸入車販売台数は約1.3万台 (+4.5%)で、1-9月の累計販売台数は11.6万台(+21.3%)と前年同期比で2桁台で増加しています。 

           9月            1-9月累計
・国産車     10.1万台 (-12.8%)   101万台 (-0.5%)
 HYUNDAI   4.6万台 (-19.6%)         
 KIA      3.2万台 (-17.7%)           

・輸入車     1.3万台 (+4.5%)    11.6万台 (+21.3%)

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韓国製の国内新車販売がおりからの円安ウォン高の影響を受けて内需が低迷する中、逆に輸入車が着実にシェアを拡大しつつある状況。 

KIA_OPTIMAKIA_OPTIMA

KAIDAによると、韓国でシェアを伸ばしつつある輸入車の中で人気ブランドのTOPは「BMW」で20%以上のシェアをキープしており、次いで「VW」と「メルセデスベンツ」が僅差で10%台のシェア争奪戦を展開中。 

韓国でも日本と同様に輸入車ではドイツ車の人気が高い状況のようですが、以前は高級モデルが主流だったものの、現在は小型車ブームに移行しているようで、2.0L未満のモデルが約半数を占めている状況と言います。 

従来は大きさや乗り心地の良さが優先されたものの、現在はリーズナブルな価格で低燃費のクルマが中心となっているようで、40歳代が主流だった輸入車ユーザーが30歳代に下がり、ユーザーの趣向が変化している模様。 

HYUNDAI_ELANTRAHYUNDAI_ELANTRA

また、欧州ブランドを中心に低燃費でCO2排出が少ないクリーン・ディーゼル車がエコカーとして認知され始めており、輸入比率がガソリン車と逆転して6割以上を占めている状況。 

このように韓国ではクルマに対する消費者の目が肥えて来たことで、消費動向に変化が現れており、韓国車の国内販売がここへ来て下降気味。 

さらには今後欧米で待ち受ける厳しい環境規制をクリアするにはHVやFCVなどに代表される、より高度な技術開発力が必要な状況で、韓国勢が世界でトップの技術力を持つ日本勢と勝負するには技術力の抜本的な底上げが急務。

とは言え、ウォン高で成長が踊り場にさしかかっている現状では莫大な研究費を伴う新技術の開発は難しいと思われるだけに、今後の出方が注目されます。

もともと韓国車はホンダや日産、MAZDA、三菱といった日本の大手自動車各社からの技術支援を足掛かりにしつつ、AudiやBMWからのヘッドハンティングで洗練された欧州デザインを手に入れたことで現在のポジションを築いて来た経緯が有りますが、今となっては日本からかつてのように技術支援を受けるという訳には行きません。

HYUNDAI_GENESISHYUNDAI_GENESIS

一方、日本側も以前に触れたとおり、昨年異常な円高に見舞われた際に、厳しい経営環境下で生き残りをかけて安価な軽自動車や商用車などに韓国製パーツの採用を拡大した経緯が有り、自動車業界を支えるサプライヤーは韓国との相互関係で成立しているのが実情。

過去の歴史に翻弄されて今も尚抜け出せずにいる国民感情を抜きにすれば、アジアの一員として日本と欧州勢の次世代環境車開発に向けたコラボ体制の如く、持ちつ持たれつの関係を築くのが最も効率的な訳ですが、現状ではそれも有り得ず、韓国車メーカーの将来はまさに自力による技術革新如何にかかっていると言えそうです。

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Avanti Yasunori

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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