トヨタ自動車のFCV(燃料電池車)開発が2015年発売に向けて大詰めに入っており、量産を目前に開発フェーズは生産技術でのコストダウンに移っているようです。
産経新聞によると、同社は2020年代前半に数万台/年規模の販売を目指しており、市販価格を300~400万円レベルまで下げる考えとしています。
10月8日にはメディア向けに東京・晴海で「先進技術説明会」を開催、ボディ全体をマスキングしたFCVセダンの試作車を初公開。
トヨタによると、走行性能ではHVと遜色がなく、発進時の加速感はガソリン車よりも優れており、説明会前日には愛知県豊田市のトヨタ本社から晴海までの322kmを走破。その際の水素燃料残量値からは650kmの走行が可能だったと言います。
ただ、コスト面では水素燃料用高圧タンクを4本から2本に半減したり、水素/酸素反応触媒への白金使用量を低減する等、工夫してはいるものの量産開始時点では噂される500万円以下には収まっておらず、2015年発売当初は800~900万円となる模様。
その後、大量生産が始まる2020年の本格普及期には300~400万円レベルに収める目標のようで、2015年を目処にFCVシステムをBMWに供給、2020年までにFCVの普及率を拡大する考えのようです。
同様に日産はダイムラー&フォードと、ホンダはGMとの共同開発を表明しており、世界レベルでは「HYUNDAI」と「VW」が単独開発を固持している状態。
コストダウンには量産効果が欠かせないという訳です。
そうした中、千葉・幕張メッセで開催された「CEATEC 2013」では半導体メーカーのROHM(ローム)とベンチャー企業のアクアフェアリーが京都大学と産学共同で開発した「固体水素源型 燃料電池システム」を出展。
「固体水素源」による画期的な発電技術で、災害時の非常用電源、停電時のバックアップ電源、アウトドアレジャー用電源としても期待されています。
FCVが大型で高価な水素ボンベを必要とするのに対して「固体水素源型 燃料電池」ではシステム自体を圧倒的にコンパクト化。
通常、高圧ボンベに貯蔵する水素を「固体水素源」では重量1/7以下、体積1/3以下に縮小が可能としています。
同社は今回の「CEATEC 2013」に於いて、樹脂でシート状に固形化させた「水素化カルシウム」の粉末に少量の水を加えて化学反応させ、水素を生成する技術を披露。
体積3ccに満たない固形シートから5Whの電力を発生させ、スマホを満充電させるデモや同技術を応用した災害時の非常用電源の出展により、「コアテクノロジー部門」でグランプリを獲得。
非常用電源に必要な水素源カートリッジはカセットコンロ・ボンベのような形状をしており、これ1本で一般的なLED照明(10W)を20時間使用可能とか。
電池残量が気になるスマホの世界にも革命を起こそうとしています。
こうした画期的な技術の応用が実現すればFCVはまだまだ低コスト化出来る可能性を秘めていると言えそうです。
■ ROHM(ローム) Webサイト
http://www.rohm.co.jp/web/japan/hydrogen
■アクアフェアリー Webサイト
http://www.rohm.co.jp/web/japan/hydrogen/system#aquafairy
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