ホンダ「シャトル」HPで公開。「フィットシャトル」の後継シャトルは180万円、ハイブリッド仕様は200万円でデビュー【今日は何の日?4月17日】

■5ナンバーのコンパクトなステーションワゴン「シャトル」公表

2015年にデビューしたシャトル
2015年にデビューしたシャトル

2015(平成27)年4月17日、ホンダが5ナンバーのステーションワゴン「シャトル」の情報をWebサイトで公開、翌月5月15日から180万円、ハイブリッド仕様は200万円で発売が始まりました。

シャトルは、「フィットシャトル」の後継モデルですが、フィットとは異なるイメージを持たせるためにフィットの冠を外したのです。


●フィットをベースにしたステーションワゴンのフィットシャトル誕生

シャトルの先代にあたるフィットシャトルは、2011年に誕生したフィットベースのステーションワゴンです。フィットシャトルは、室内・収納スペースの広さ、使い勝手の良さと走り、そして燃費の良さがアピールポイントでした。

2011年にデビューしたフィットベースのステーションワゴン・フィットシャトル(ハイブリッド)
2011年にデビューしたフィットベースのステーションワゴン・フィットシャトル(ハイブリッド)

パワートレインは、フィットと同じ1.5L直4 i-VTECエンジンと、1.3L直4  i-VTECエンジン+モーターの“IMA(ホンダ・インテグレーテッド・モーターアシスト)”ハイブリッドです。IMAは、エンジンとトランスミッションの間にモーターを挟み込んで、モーターでエンジン出力をアシストするマイルドハイブリッドで、フィットと同等のトップクラスの燃費が達成されました。

フィットシャトルは、立ち上がりの販売こそ順調でしたが、その後は右肩下がりとなり、販売は伸びないまま2015年に販売を終えたのです。

●マイルドから本格ハイブリッドに進化して登場したシャトル

シャトルは、フィットの冠をとって2015年にフィットシャトルの後を継いでデビューしました。

シャトルの広い室内・収納スペース
シャトルの広い室内・収納スペース

フロントグリルと左右のヘッドランプが一体型の“ソリッド・ウィング・フェイス”のスタイリングと、ラゲッジスペースの広さと使い勝手の良さ、走りと燃費の両立という、フィットシャトルの強みをそのまま引き継いだコンパクトなステーションワゴンです。

パワートレインは2種あり、1.5L直噴VTECエンジンと7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせたガソリンモデルと、ハイブリッド“i-DCD”とCVTの組み合わせ。i-DCDシステムは、DCTに高出力モーターを内蔵したホンダ独自の本格ハイブリッドシステムです。

また、安全運転支援技術として、「自動ブレーキ」と「誤発進抑制機能」を装備。2017年にはマイナーチェンジで全車「ホンダセンシング」が採用されました。

シャトルは、標準仕様180万円、ハイブリッドが200万円で販売され、年間販売4万台を超えるペースで滑り出し、その後も3万台近い販売台数を堅持した人気モデルでした。ですが、残念ながら2022年に生産を終えました。

●シャトルで採用された本格的なフルハイブリッドi-DCD

i-DCDは、それまで展開していたマイルドハイブリッドIMAの代りに、2013年にフィットに初めて採用されました。

i-DCDハイブリッドシステム
i-DCDハイブリッドシステム

DCTを利用したハイブリッドで、奇数段のメインシャフトにモーターを接続、偶数段のセカンダリーシャフトでは、デュアルクラッチを介してエンジンと接続。これにより、EVドライブ、エンジンドライブ、ハイブリッドドライブ、回生モードの4つのモードを可能にし、DCT特有の俊敏な変速が特徴の本格的なフルハイブリッドなのです。

プリウスにも対抗できるシステムでしたが、制御の複雑さゆえに初期には何回も制御ソフトの不具合を起こしました。しかし改善は止まず、その後、ホンダのハイブリッドは“i-MMD”、そして現在の“e:HEV”へと進化してゆくのでした。


1990年代に起こったステーションワゴンの一大ブームも、2010年を迎える頃には、ミニバンやSUVにその座を奪われました。そのような中、フィットシャトルとシャトルはまさにクルマ史に残る、善戦を続けていたステーションワゴンだった、と言えるのではないでしょうか。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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