トヨタ最新のマーケティング戦略とは?【シャア専用オーリスのすべて】

このところトヨタは、10/1販売を開始した「シャア専用オーリス」艶やかピンクで話題になった「ピンククラウン」等、矢継ぎ早に新しい価値観を提供しています。真面目でお堅いイメージのトヨタとは思えないような、今までにないマーケティングが展開されているのですね。そこにはプロモーション業務を分離独立して新会社を設立し、社外の新しい世界観をクルマ造りに活かそうとするトヨタの大胆なマーケティング戦略がありました。

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■もともとトヨタは共同開発の名人

思い起こせばトヨタは、他所の会社と組むのが上手です。古くは、名車トヨタ2000GTの直6DOHCエンジンとインパネのウッドパネルは、YAMAHAに供給を委託していました。また約15年前には、「WiLL」という統一ブランドの元、家電や飲料メーカー等がWiLLブランドで商品を出すという異業種合同プロジェクトがスタート。トヨタも社内でバーチャル会社を設立して、WiLL Vi、WiLL VS、WiLLサイファという3種類の個性溢れるクルマを送り出しました。共同開発とか共同プロジェクトというと自社のエゴを押し付けがちですが、昔からトヨタは相手方の長所を最大限に引き出して、クルマ造りに反映させるのが非常に上手な会社なのです。

■「シャア専用オーリス」の仕掛け人、トヨタマーケティングジャパン(TMJ)とは?

またこのところ、真面目なトヨタらしからぬTV-CMが多いですよね。例えばオーリスでは「常識に尻を向けろ!」という赤ビキニ男のCMがありました。また「武将リボーン編」や「実写ドラえもん編」といった大胆なCMもシリーズで続いています。正直「よくぞお堅いトヨタの稟議を通ったものだ!」と感心しておりました。実はトヨタは、2009年から広報宣伝活動をトヨタ本体から分離して、新会社トヨタマーケティングジャパン(TMJ)に移管。そして社内の固定観念にとらわれることなく、新機軸のプロモーション活動を展開してきました。

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今回の「シャア専用オーリス」でも、TMJはネットを駆使して、全く新しい取り組みを実施。ネット上でバーチャル会社のジオニックトヨタ社を立ち上げ、一般個人がバーチャル社員として登録することで、開発やプロモーションの企画立案に参加できるように仕立てました。かつての異業種交流プロジェクト「WiLL」の際、トヨタは社内ベンチャー的に社員の参加を募りましたが、今回の「シャア専用オーリス」ではネットを活用して、一般個人が参加できるプロジェクトに進化させたのですね。ガンダム&クルマ好きには、本当に堪らない企画だったと思います。今後もトヨタのマーケティング活動から、目が離せなくなりそうです。

(拓波幸としひろ)

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