日本でも295万円で買えるスマートのEV「smart fortwo electric drive(スマート・フォーツー・エレクトリック・ドライブ)」に一度試乗したことがあります。SmartはEVのために生まれてきたんじゃないか! と思わせるほどベストマッチで、シティコミュータこそEVが最適だと思わされる好例。しかし、日産リーフやBMW i3などは街を出てもう少し距離を走ることを想定していて、こうした中距離用EVも今後さらに出てくるはずです。
一方で、先日のプレス試乗会で「フィットEVはどうなるんですか?」という質問をホンダの広報やフィットの開発陣にぶつけると、現状のリース販売からは動きなしという回答でした。EVはまだまだ手探りなメーカーもありますね。しかし、ホンダもかなりのフィードバックがあるそうですから、当然ながら新型フィットベースのEVもあるんじゃないでしょうか。
BMWのi3に負けじと、メルセデス・ベンツもBクラスをベースとした「Bクラス・エレクトリック・ドライブ」を披露しました。2012年のパリサロンで公開されたBクラスEVですが、まずは2014年の北米での販売開始をアナウンスした生産モデルといえるもの。
先代までのAクラス、Bクラスはサンドイッチコンセプトと呼ばれる二重構造が特徴で、EVやFCVの電池などを搭載するための特殊な構造は、フロアは高いのに着座位置が妙に低く、見た目ほどヘッドクリアランスもないというデメリットばかりが目立ってしまい、高い衝突安全性、EVやFCVとの共通化というメリットにはあまり目が向けられていなかった感もあります。
内燃機関を主役に据えた新型BクラスをEV化するというのは、何だか皮肉にも思えますが、バッテリーやモーターなどの小型、薄型化やパッケージングの進化などにより、5人乗りを維持しながらEV化することが可能になったのでしょう。
ダイムラーはテスラに出資していて、冒頭で紹介した「smart fortwo electric drive」のエレクトリック・ドライブ技術は、テスラモーターズとダイムラーの協力により実現していていますが、Bクラスも電気関連はテスラとダイムラーの協力によるもの。
最高出力は130kW、最大トルクは340NmとEVらしく瞬時に発揮される最大トルクにより、鋭い出足が楽しめそうです。最高速は160km/h、0-100km/h加速は7.9秒で、気になる航続距離は他のEV同様に、条件により大きく変わりそうですが、約200kmとのことですから、リーフに近い数値なのも興味深いところです。
充電時間はヨーロッパでの400Vで約1.5時間とのことで、200Vの数値は出ていませんが、単純に倍だと約3時間になります。
インテリアは十字型のエアアウトレットが目を惹くBクラスそのものですが、インターネットにアクセスできる情報通信を搭載するなど、こちらも進化しているようです。
(塚田勝弘)