米国政府が主導する「コネクテッドカー」(ネット接続型自動車)の実証実験が、2012年8月からミシガン州で始まっており、2,836台の自動車に無線通信装置を取り付け、運転中のドライバーの状況など、さまざまな情報を収集しています。
この実験を通じて集められた大量のデータを使って、米運輸省がコネクテッドカーの安全面でのメリットなどを評価しているそうです。
また米自動車業界では同データを使って、安全性が高く環境への負担が少ないモバイルアプリケーションの開発を進めていると言います。
そうした中、電気・電子分野における世界最大の学会 IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)が「2025年までに自動車の60%がインターネットに接続され、高度な安全機能、最新のソフトウェアを搭載することになる」と発表。
自動車メーカーは既に「コネクテッドカー」技術の実装に乗り出しており、最近もアウディS3スポーツバックに「LTE」通信機能が搭載されるなど、車内での高速インターネット通信が可能となったばかり。
IEEEによると「車間通信により、運転中のヒューマン・エラーを無くすことで、従来よりも短い車間距離での高速走行や悪天候・渋滞などの自動回避が可能となり、より安全で快適な運転が実現する」としています。
こうした傾向は自律走行車の実現を促進することになり、「今後5年の間に自律走行車専用の車線が登場、2040年までに自律走行車が道路通行車両の75%を占めることになる」とも。
以前にもご紹介したとおり、日本でも交通事故の削減や渋滞の抜本的解決を図るため、国交省が2012年6月27日に有識者で構成された「オートパイロットシステム検討会」を設置、現在までに6回の会合が設けられ、自律走行システムの実現に向けた具体検討を進めている状況。
その一方で日本ではこうした自律走行を標的にした「ハッキング」対策についての議論は殆どされておらず、国交省の会議議事録を見ても自律運転に関する一般的な技術課題のみに終始しているようです。
IEEEでは背反する危険性についても触れており、「ハッカーはオーディオ機能に損害を与え、自動車のイグニッションやブレーキ・システムを不能にし、ソフトウェアにトロイの木馬やウイルスを感染させる潜在能力を持っている」と警告しています。
車間通信に於いては1つのネットワークへの侵害が別のネットワークに損害を与える可能性が有り、自動車メーカーはハッキングへの対抗措置としてファイアウォールを設定して統合システムからのアクセスを制限する必要が有るとしています。
確かに命をかけてまで自律走行車に乗りたいとは誰も思わない筈。「コネクテッドカー」には完璧なハッキング対策が求められるのは言うまでもありません。
■IEEE Webサイト
http://www.ieee.org/index.html
■米国運輸省
http://www.dot.gov/
■国土交通省 オートパイロットシステム検討会
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/
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