先日、総務省が軽自動車税の大幅増税を検討しているという話題をお届けしましたが、8月29日にはスズキの鈴木修会長が14年ぶりに全面改良された同社の軽トラック「キャリィ」発表会の場で、今回の増税案について言及。
鈴木会長は軽自動車税の増税について「比較的所得の低い人も乗っている上、軽自動車関連の仕事に従事しているのは中小零細企業が殆どで、企業にとってもユーザーにとっても得策ではない」としており、「消費増税で自動車取得税が廃止されても、その代替財源を軽自動車税に一極集中されるのでは困る」との考えを明らかにしました。
また、「こういう考えがまかり通るのは残念というより悲しい」とも。
今回の軽自動車税の増税案は米国とのTPP平行交渉の中で出て来た話で、米国が軽自動車の税制を「非関税障壁」と看做しているとされており、その意向にリンクさせて自動車税や自動車取得税を管轄する総務省が軽の増税分を2015年の自動車取得税廃止の際に穴埋め財源に利用しようというシナリオ。
鈴木会長がこうした税収減を右から左に移動させるだけの発想に落胆するのも無理は有りません。 しかも自動車税の増税は毎年軽ユーザーの負担を強いることに。
確かに軽自動車税は7,200円/年で、登録車が29,500円/年以上である事を考えると「軽の税金は安い」という話になりがちですが、ここで誤ってはいけないのは、日本の自動車諸税が諸外国に比較して、そもそも異常に高額である点。
ちなみに日本の自動車諸税は日本の税収の約1割を占めています。
(資料出展 日本自動車連盟 JAF)
日本自動車工業会の豊田会長も「軽自動車税が安いということでは無く、登録車の自動車税が高過ぎる」と指摘しており、「世界的に見ればむしろ現行の軽自動車並みの課税が適正」とのスタンス。
それを確かめるべく、諸外国と日本の自動車諸税を比較したグラフ(12年間使用した場合)に軽自動車の自動車諸税をプロットしてみましょう。
現在売れ筋の120万円クラスの軽自動車の場合、軽自動車税が8.6万円、軽自動車諸税全体で16.2万円となり、ほぼ世界横並び(グラフ青部分)の平均値並となります。
<算出根拠>
自動車税86,400円(7,200円×12年)+自動車重量税39,600円+自動車取得税36,000円(3%)=162,000円
日本の自動車諸税の突出ぶりは当然輸入車の販売にも影響を与えている訳で、その観点では米車の売れ行きに何ら影響していない軽自動車を責めている場合では無く、むしろ米国にとって影響が大きい登録車税の適正化に目を向けるべきなのです。
こうした比較結果は税を「取り易いところから取る」という慣習を改めるべき段階に達していることを如実に物語っているようです。
■総務省 自動車税について
・登録車 http://www.soumu.go.jp/main_content/000165230.pdf
・軽自動車 http://www.soumu.go.jp/main_content/000165232.pdf
■総務省 自動車取得税について
http://www.soumu.go.jp/main_content/000165228.pdf
■JAF(日本自動車連盟)自動車税制改正に関する要望活
http://www.jaf.or.jp/profile/report/youbou/tax.htm#p01
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