トヨタ自動車の2013年度第1四半期決算(4-6月)によると、売上高が前年同期比で+13.7%増となる6兆2553億円、営業利益が約1.9倍の6633億円となっており、これに伴い純利益も約1.9倍の5,621億円に達しています。
この時期としては過去最高だったリーマンショック前の2007年度に次ぐ水準で、米国市場の好調やアベノミクスによる円安進行の恩恵をモロに受けた形。
同社は通期の業績見通しについて、今の円安水準が当面続くとして、当初の見込みから営業利益を1,400億円上方修正して1兆9,400億円(前年比+46.9%)、純利益1兆4,800億円(+53.8%)を見込んでいます。
一方、ブルームバーグが伝えるところによると、アベノミクス政策を進める政府が企業に賃上げや設備投資拡大を促す中、トヨタの内部留保の使い道に市場関係者の注目が高まっていると言います。
安倍首相は様々なデフレ脱却に向けた政策を打ち出す中で、各企業に春闘の際に賃上げを要請、今後の設備投資減税検討を早めるなど、積み上がる国内企業の内部留保を国内に吐き出させて経済活性化を促す構え。
しかし、以前に触れたとおり、日本自動車工業会豊田章男会長は7月11日の記者会見で「国内向けの生産能力が余剰する中で生産拡大に向けた設備投資は困難であると言わざるを得ない」としています。
これは自動車各社が昨年9月のエコカー補助金終了後に国内販売が減少している事や来年に予定されている消費増税による先行きを警戒している為で、世界販売の主力となっている米国や新興国など、為替変動に左右されない海外市場への設備投資を優先しているのが実情。
トヨタはリーマンショック前に販売増に伴って生産を急拡大させて失敗した教訓を活かして、今後3年間は新たな計画に基づく工場を建設しない方針。
期初計画の研究開発費8,900億円や設備投資額9,100億円についても為替変動分の調整としてそれぞれ+100億円上乗せする程度で、むしろ今後の技術開発や海外での増産体制強化に向けて備えている状況。
こうしたことから、アベノミクスの3本目の矢である「国内投資を喚起する成長戦略」を主力産業の自動車分野で進展させるには企業向けの大胆な「設備投資減税」は勿論のこと、消費者側に重くのしかかっている「自動車諸税の負担低減」が急務。
国内でクルマが売れなければ企業側も国内投資に動かないのはある意味、当然の話。少なくとも現状のままでは来春に予定されている消費増税が国内自動車市場の伸び悩みや国内の雇用問題にいっそうの追い討ちをかけることになりそうです。
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