7月14日、決勝を迎えた富士スピードウェイは曇り空で、前日までの猛暑が緩んでいました。当然、路面温度が低くなり、タイヤの磨耗は抑えられるかもしれません。
総合的な予選順位は16位。そこから追い上げていくことになります。
レースを前にドライバーの坂本選手は、巻き返しを狙っています。
「目標は10位以内、1ポイントでもいいから、欲しいですね。上位のクルマのペースが落ちてくれば、後半に勝負ができると思います。とりあえず1〜2周目で2〜3台パスしておきたいですね」
シリーズチャンピオンを狙うためには、1位から10位までに与えられるシリーズポイントを獲得しておきたい。そのためには少なくとも6台をオーバーテイクする必要があります。
決勝レースを前に、予選落ちした33台によるコンソレーションレースが開催されます。トップ争いは激しいものでしたが、それ以外は落ち着いた展開で、オーバーテイクシーンも極めて少なめでした。
レースに詳しい人なら、富士スピードウェイの長いストレートを使ったスリップストリームが、オーバーテイクするのに有効であることを知っているでしょう。だからストレートの終わりで前車を追い越しやすく、1コーナーが観戦ポイントとしても面白い見どころとなってるのが普通です。
しかし、86/BRZレースでは、市販車そのままノーマルのエンジンコンピューターを使用しているので、ストレートで180km/hのスピードリミッターが作動してしまいます。
つまりスリップストリームに入ってもスピードが上がらず、オーバーテイクすることは困難なわけです。そのため、富士スピードウェイ特有のストレートでのオーバーテイクも見られません。
いよいよ予選を勝ち抜いた、45台という大量のマシンがスタートし、決勝レースが始まりました。
坂本選手は上手くスタートを決めて3台くらいをパスして、1コーナーへと進入。
しかし性能差が少ないワンメークレースゆえに、2台が横に並んだまま走っていきます。
ダンロップコーナーでアクシデントを避けるためにブレーキングした結果、大きく順位を下げて19位で2周目へと突入。
マシンの性能差が小さく、絶対的なパワーが低いから、坂本選手のテクニックでも先行車を捕らえてオーバーテイクするのは難しい。前車との距離をジリジリと縮めることはできても、追い越すことは難しいのです。最終的に開幕戦は17位という結果に終わりました。
次戦は7月28日のSUGO。シリーズはまだ始まったばかり、わずかな時間の中でどれほど進化させられることができるでしょうか? 期待して見守りましょう!
(岡村 神弥)