トヨタ博物館1Fの一番目立つ場所に展示されているのが、トヨタ初の生産型乗用車である「トヨダAA」のレプリカ。創業初期の商標は、1935年7月27日に登録されたエンブレムで、この「AA型乗用車」と「G1型トラック」には「TOYODA」と冠されています。その後、「金のしゃちほこ」、「豊田とつばさ」を描いたエンブレムになり、1936年には公募により赤の地に白抜きで「トヨタ」、逆に白地に赤い文字で「トヨタ」のエンブレムが採用されます。
その後、1989年に現在のトヨタマークとロゴが設定され、マークの意味は全体のデザインを楕円で統一し、縦と横に組み合わされた2つの楕円はトヨタの「T」、背後の空間は同社のグローバリズム、未来・宇宙に翔ける無限の可能性を示しているとのこと。
日産は、1950年代に日の丸の上に「NISSAN」を横に乗せたロゴと、「DATSUN」の両方を使っていました。2001年には、創業者の鮎川義助が残した「至誠天日を貫く」という精神を表している現在のブランドシンボルになり、当時のシーマやプリメーラ、スカイランなどすべてのモデルに採用されています。
ホンダの四輪車はシンプルな「H」ですが、上に広がる末広がりを意味するエンブレムはすでに1963年のS500のノーズで誇らしげに輝いています。そして、80年代に入り、本田宗一郎氏から「最近のクルマはみんな同じに見えるから、ホンダの4輪マークを作れ」という指令を受けた社内デザイナーが、創業者が楽しんでいたこともある三味線の箱の輪郭と「H」マークの縁(輪郭)をイメージさせ、四角を基調に丸みのある張りを付けたそうです。
日本メーカーは、トヨタのマークや日産のアルファベットを使ったロゴが多いですが、スバルの六連星(むつらぼし)も長年愛されてきたエンブレム。1958年のスバル360の鼻先にすでに貼られていた六連星は、6社の合併で誕生したことを表しています。変わっていないように思えますが、初期は大きな星が右下にあり、左上に小さな星が5つ配されています。しかし、ずっと六連星だったわけではなく、車種ごとにそれぞれのマークが使われていた時期もあり、2001年のレガシィのマイナーチェンジを機に六連星に統一されました。
西アジアでの人類文明発祥とともに、誕生した神「アフラ・マズダー」に由来する社名をもつ「マツダ」は、現在の形は1997年に制定された「自らをたゆまず改革し続けることによって、力強く、留まることなく発展していく」というマツダの決意を、未来に向けて羽ばたくMAZDAの「M」の形に表したそうです。写真のロードスターは2代目からマツダのコーポレートマークが使われています
(塚田勝弘)