2012年末の政権交代後の金融政策で急速に円安傾向が強まり、1ドル70円台後半だった為替相場はその後、下落を続け、5月9日には遂に1ドル100円の大台を突破。
さらに5月14日には1ドル102円代台に突入しました。
5月11日に閉幕したG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)では懸念されていた参加国からの表だった円安批判は出ず、日銀の大規模緩和策や現状の為替水準を事実上容認している状態。
ブルームバーグによると、フィリピンなどのASEAN諸国も日本の経済健全化を歓迎しており、「円安が日本の成長加速に繋がるなら、自分達にとってもプラス」との考えを表明した模様。
「円安が日本の自動車業界に与える影響はこんなに大きい ! アベノミクス効果か?」でお伝えしたとおり、円安が自動車業界の営業利益に及ぼす影響は絶大で、例えばトヨタ自動車の場合、昨年終盤の第3四半期(2012年10月~12月)に低迷していた営業利益が第4四半期(2013年1月~3月)に入ると、円高に対する企業努力と円安の相乗効果で1,247億円 → 5,024億円と一気に約4倍(+3,777億円)に急拡大しました。
この傾向は日産自動車でも同じで、621億円 → 1,744億円へと営業利益が約2.8倍に拡大(+1,123億円)、三菱自動車も101億円 → 265億円へと約2.6倍(+164億円)に急拡大するなど、各社の経営状況に大きな変化が現れており、国内の主要自動車メーカー7社の2012年3月期の営業利益に於ける円安効果は合わせて約1兆円レベルに達しました。
このように約4年ぶりの収益回復に沸く自動車業界ですが、基本的に輸出産業なので、この円安傾向が止め処も無く続けば今度は資材の輸入価格上昇により、その効果が薄れるリスクが増えて来ます。
リーマンショック以前、経営が順調な頃の為替相場が1ドル120円前後だった事を考えれば現状の102円台ならまだ暫く余裕が有るとも言えそうですが、ここで気を緩めてしまうと、過去にバブル崩壊で苦い経験をしたように「元の木阿弥」状態に。
自動車各社は為替の変動による経営への影響を抑える為、販売の拡大が見込まれる新興国等での投資は続けるものの、国内向けの設備投資には慎重になっているという訳です。
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https://clicccar.com/2013/04/15/217831/
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