クルマを電気で走らせることへのハードルか? 先進技術とリコールとの戦い

国土交通省のホームページには、2、3日に1回くらいのペースで自動車に関するリコール情報が掲載されています。乗用車だけではなく、バスやトラックなどの商用車も含まれますから結構な頻度です。リコールは、各メーカーにとって費用はもちろん負担になりますが、過去のリコール隠しなどの反省から安全を最優先した結果、ほぼ毎日のように国土交通省に届け出されていると考えたいものです。

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現在ニュースで取り上げられている、マツダ・アテンザは納車待ちの列ができているだけにかなりの痛手であったはず。その内容は、DC-DCコンバータの内部の電子基板に亀裂が入っているものがあり、コンデンサがショートする可能性があり、最悪の場合火災に至る恐れがあるというもので、対象車は全車DC-DCコンバータを交換するとのこと。

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また、車両によっては暫定でDC-DCコンバータに電流が流れないようにショートカットを追加するとともに、エンジン制御プログラムを書き換えるとのことで、その間は「i-ELOOP」が使えなくなる可能性もあるかもしれません。

昨日、三菱自動車はホームページで「アウトランダーPHEV」の不具合について掲載し、ニュースなどでも取り上げられていますが、リチウムイオン電池から発熱し、電池セルおよび駆動用バッテリーパックの一部に溶解という事象が1件発生したという内容です。

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登録前の在庫車両を普通充電で満充電し、翌日移動させようとしたところ、異臭がしたため不具合を発見したそうですが、すでに乗っているユーザーには、原因究明が終わるまでは外部充電とチャージモードの利用は控えてください、とのこと。今後はリコールの可能性もあるようです。

さらに、i-MiEVのリチウムイオン電池でもトラブルがあり、去る3月18日、水島製作所のEV用バッテリーパック組立工場バッテリー検査室で、完成品検査のため充放電検査装置に接続され充電中だった『i-MiEV』用16kWhバッテリーパック1個が過熱し発煙、約1時間後に発火し、鎮火したとのこと。

国土交通省の「平成22年度自動車のリコール届出内容」の分析結果によると、 動力伝達装置47件(42件・12%増)、車枠・車体40件(25件・60%増)、原動機35件(35件・増減な し)、電気装置34件(39件・13%減)、燃料装置32件(39件・18%減)、制動装置32件(37件・14%減)、かじ取装置31件(27件・ 15%増)、灯火装置25件(18件・39%増)、走行装置17件(19件・11%減)、乗車装置14件(18件・22%減)、緩衝装置12件(12件・ 増減なし)、排出ガス発散防止装置11件(3件・267%増)の順となっていて、ほぼクルマ中のパーツに及んでいることが分かります。

アテンザとアウトランダーPHEV、i-MiEVは、先進技術により省燃費を実現した各社の社運を担っているだけに話題になっていますが、リコールの届け出を見ていると必ずしも新しい技術だけではないことが分かります。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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