交通事故を低減できるか!?日本初「ラウンドアバウト」式交差点の実証試験を開始

自動車保険会社の調査によると平成23年度の年間交通人身事故発生件数は約70万件で、死者数は約4,600人。交差点での事故が約50%以上を占めており、出会い頭や右折車 対 直進車などによる事故が後を絶たない状況と言います。

クラッシュテスト

欧米では1960年代から1970年代にかけて「ラウンドアバウト」方式の交差点が英国を皮切りに普及。パリの凱旋門を取り巻くラウンドアバウトなどが有名で、近年のエコブームで信号が無いラウンドアバウトが積極的に導入されている模様。

パリ凱旋門 ラウンドアバウト
パリ凱旋門 ラウンドアバウト

一方、日本ではラウンドアバウトに対する認知度の低さや安全面での効果を示す説得力の有る実データの蓄積不足などで普及が進んでいないのが実情。 

ラウンドアバウト交差点(長野県飯田市)
ラウンドアバウト交差点(長野県飯田市)

このような問題点への対応として長野県飯田市が2013年2月5日に日本で初めて「ラウンドアバウト」方式の交差点を東和町の交差点に導入して実証試験を開始したそうです。
(ラウンドアバウト通行中の様子をライブカメラで見ることが出来ます)

右回りの一方通行(日本の場合)で、環道路を走行中のクルマが優先、交差点に進入する車両は入り口での一旦停止が走行ルールとなっています。

ラウンドアバウト交差点(長野県飯田市)
ラウンドアバウト交差点(長野県飯田市)

「ラウンドアバウト」には以下のようなメリットが有るとされています。 

・信号が無いので震災等の災害時に停電が発生しても交通網に影響無し
・信号が無いので燃料の節約になる(アイドリングストップ不要かも)
・信号が無いので街の景観がスッキリする
・交通の流れがスムーズになり渋滞が減少
・中央に円形盛土が有る為、交差点入り口で減速される
 
デメリットとしては設置に必要な敷地面積がやや広くなることや、交差点に進入時、環道路を走行中のクルマとの衝突などの可能性も考えられますが、相対スピードが低いだけに総合的に見ればメリットの方が多いかもしれません。

米国で導入後に年間発生事故件数が半減したとの実証データも有り、飯田市での導入を皮切りに全国で展開される可能性が出て来た「ラウンドアバウト」方式交差点ですが、車道と歩道が共存している点で課題は残るものの、今後の導入効果が期待されます。

■国際交通安全学会Webサイト
http://www.iatss.or.jp/2012/01/h2303.html  

■長野県飯田市 ラウンドアバウト関連Webサイト
http://www.city.iida.lg.jp/iidasypher/www/info/detail.jsp?id=8156
http://www.city.iida.lg.jp/iidasypher/open_imgs/info/0000000121_0000019292.pdf  

■長野県飯田市東和町交差点ライブカメラ
http://www.iidacable.tv/net/livecam-towacho.htm

 (Avanti Yasunori

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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