日産は車体部品における「超高張力鋼板(超ハイテン材)」の採用を2017年以降に発売する新型車で25%(重量ベース)まで拡大する計画を発表しました。これは燃費性能につながる車体軽量化が目的ということです。
日産が新日鐵住金、神戸製鋼所と共同開発した超ハイテン材は、従来までのハイテン材が980MPa(メガパスカル)級だったのに対して、1.2GPa(ギガパスカル)と桁違いの強度を持つ鋼板となっています。
鋼板材の強度を増すと、一般的には延性が低下するので、プレス成形性が悪化してしまうものですが、三社の共同開発による1.2GPaハイテンは、980MPaよりも延性に優れ、複雑な形状部分にも使用可能となっているといいます。
こうした成形性の高さにより、センターピラーレインホース、フロントルーフレール、サイドルーフレールといった部分に、この1.2GPaハイテン材を使用することが可能になったということです。
この1.2GPa級高成形性超ハイテン材を含めて、超ハイテン材の採用比率を増やし、さらに車体の構造を見直すことで、15%の車体軽量化を目指すことが発表されました。
なお、この1.2GPaハイテン材を使ったボディは、北米市場向けのインフィニティQ50から採用されるということです。
強い鋼板により衝突時の変形を抑制することによる「衝突安全性向上」と、材料の使用を減らすことによる「環境負荷低減のための軽量化」とという大きなテーマを両立する、超ハイテン材の採用は今後のトレンドとなりそうです。
(山本晋也)